A3 満開の花畑 (ページ3)

今日:1 hit、昨日:1 hit、合計:438 hit

02 好きにしてくれた場所ページ3

私が生まれ育ったのは演劇が盛んな天鵞絨町。

幼い頃からビロードウェイでストリートアクトを観たり休みの日は劇場でお芝居を観たりと直ぐそばに演劇というものがあった。

そして私がミュージカルの舞台を目指したきっかけでもあった。

『ここに来るの年明け以来だな。時間あったらお母さんの顔見てこ。』

平日の昼間にもかかわらずビロードウェイは稽古も兼ねてか役者たちがストリートアクトを繰り広げている。

『あった。ここってやっぱりあのMANKAIカンパニーだ。』

私が良く行ったのはすぐそこのGOD座だったけどお母さんは昔MANKAIカンパニーのファンだったな。

「あのぉ、もしかして3時から打ち合わせの篠田さんですか？」

『あ、はい。K出版社から参りました篠田と申します。本日はよろしくお願い致します。』

声をかけられた方を振り返ると私と同い年くらいの女性が。
劇団の人っぽい。

「こちらにお掛けください。」

中の応接間に通され女性はお茶を用意すると言って出て行ってしまった。

その間私はタブレットで今日決める内容をざっくりおさらいして待機することに。

「お待たせしました。えっと私はこの劇団の主宰兼総監督の立花いづみです。よろしくお願いします。」

『では、来月号こちらの劇団の特集ページを作らせて頂くにあたってインタビューや写真撮影をするための日程を決めたいと思いますーー』

時たま雑談を挟みながらも打ち合わせはスムーズに進む。

「では、インタビューと写真撮影は来週の14時からで。天馬君もテスト期間だから帰り早いかな。」

『団員って学生さん達なんですか？』

「はい。今回代表の各組のリーダーは2人学生で。皇君はまだ高校生ですしね。団員の中には中学生もいますよ。」

『ええ！！？みんな学業と両立して？』

「大人組や大学生組のサポートもあってみんな頑張ってくれてます。」

この劇団は夢を叶えた人の場所というよりは夢を叶える場所なのかな。

『家族みたいな劇団なんですね。』

「団員はみんな寮で生活してますしもう家族です。そうだ！よかったらこのまま夕飯食べていきませんか？」

『へ？？』

「今日は集中稽古も無くて忙しくないですし。それに、篠田さんとお話ししてるとすごいお芝居のこと好きそうなので私の勝手ですけどもっとお話ししたいなって…」

ダメですか？なんて言われたら断れないのわかってるのかな？