＊19＊ 教えてよ ページ19
重い足で、花壇へと向かう。
彼は、どこに行ってしまったんだろう...。
「あれ......？」
建物の前で立ち尽くしている男性。
あれは、ニノだ。
鑑識課の人に聞いたら、今日は休みだって言われた。
休日なのに、外出するなんて...
「珍しい...」
ちょっとからかってやろうかと思って、忍び寄る。
だが、ニノの顔を見た瞬間、足が止まってしまった。
ニノの頬には、一筋の綺麗な涙が流れていた。
なんで...泣いてるんだ......？
「...ニノ......？なんで泣いてるの...？」
俺の言葉に我に返ったみたいにビクッとして、涙を拭っていた。
和「...居たんすか」
「...どうしたの？」
和「深い意味はないですよ。ただ、歌が聞こえてきただけですから」
歌？
「それって、どこから聞こえてきた！？」
和「うるさい......分かりませんよ」
「また聞こえてきたら、連絡して！」
和「はいはい」
ニノに別れを告げ、花壇へと向かう。
彼の歌は、人々の心の傷を癒す力がある。
彼の歌かもしれない...！
花壇に着くと、懐かしい姿があった。
3月なのに、マフラーとダッフルコートを着ている男性。
「智くん......？」
俺の呼び掛けに気づいたのか、こっちを見てきた。
そして、バッチリ目があった。
「智くん！！」
彼の元へ走り、思いっきり抱き締めた。
会いたかった......。
智「翔...くん......？」
「覚えてたんだ...！」
金田さんが覚えてないなんて、変なこと言うから......心配したじゃん。
「どこいってたんだよ！探したんだぞ...！」
智「...ごめん、心配かけて」
「また、歌ってたの......？」
智「うん...翔くん、気づいてくれるかなって...」
彼も俺のこと、探していたのか...？
だったら、俺ら両思いじゃん。
「ほんと...会えてよかった」
もう一度、強く抱き締めた。
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作者名：＊蒼風＊ | 作成日時：2015年3月26日 20時
