月のメロディー〈O×S〉 (ページ2)

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「えぇっと......上手ですね...」

慌てて考え出した言葉は、一言だけだった。

沈黙が流れる。

あれ...聞こえてないのか...？

？「...聴いていたの？」

　「あっ、はい」

花壇からひょいっと降りてきて、俺の方へと歩み寄る。

ドキッと、心臓が跳ねた。

綺麗な瞳は、うっすらと青みがかっていた。

日本人？だよな...。

カラコンか...？

　「あの......いつも、ここで？」

昨日もここを通ったが、彼は歌っていなかった。

歌ってお金を貰ってるわけでもないらしいし......好きで歌っているのか？

？「気まぐれ」

　「気まぐれ...」

マイペースな人だということは、わかった。

　「名前、教えてもらえますか...？」

？「...智。大野智」

　「大野さん」

智「さん、なんて...くんでいいよ」

　「えっ、じゃあ...智くん」

初対面の大人に、君づけって......。

なんか......智くんって、響きがいい。

　

それから、その智くんとは友達になり、そこで別れた。

また彼は、花壇に乗って歌っていた。

やっぱりその歌声は、綺麗だった。

それが、漆黒の闇を照らしていた月が綺麗に見えた夜のことだった。