パパが嫌いだ【爆豪勝己】 (ページ14)

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だいすきなママとホットケーキを作ってた

何をトッピングする？なんて言いながら

果物やらホイップを出して

そんな普通のママとの時間が幸せだったんだ

でも､そんな幸せも

「娘でも嫁でもいいから拉致れぇ！」

襲撃してきた敵達によっていきなり奪われた

「A！奥に逃げてなさい！」

『ママやだよ』

「お願いA､言うことを聞いて

大丈夫だから

ずっと一緒よ､愛してる」

そう言って私のおでこにキスをしたママは

私を地下室にいれそのまま戻ってこなかった

暗い地下室の中でずっと

パパ助けて

パパはヒーローだから大丈夫って思ってた

けど現実は違った

どれだけ時間が経ったのか

多分そんなに長くはなかったと思う

地下の扉が開いて光が差し込んできて

ママだと思ってすぐ走った

けどそこにはヒーロー姿の出久

何も分かってない私は出久がいることに素直に喜んだ

そんな私を出久はギュッと抱きあげる

出久に抱っこされたまま地下室から上がれば

綺麗だった部屋は物が散乱して歩く場所もなかった

当時の私は何も分からなくて

ただ無邪気に

＂この部屋､ママがみたら怒っちゃうよ？＂なんて

当時その場にいたヒーローは何を思ったんだろうか

少し歩いて玄関の方に行くと血が増えた

その中心にはパパの姿があった

大好きなパパに駆け寄ろうとしたが

私の視界に倒れている女の人が入った

『ままぁ…？』

恐る恐るその人に近づくと

最悪な光景がしっかりと脳にインプットされる

冷たくなった血だらけの母の手にそっと触れた

ビクともしない

突っ立ってそんなママを見るパパを見た

悲しい

怒り

悔しい

そんな表情をしていたパパは私を見なかった

『パパ … 』

不安になった私はパパに触れようと手を出した

「触んな」

パシっと乱暴に手を振り払われる

こんなの初めてで

戸惑って泣き出した私を抱き締めにきてくれる出久

「自分の娘に何やってんだ！」

出久のそんな叫び声を無視するパパに

幼いながらに初めて＂嫌悪感＂というのを覚えた