【東京喰種】モノクロ狐番外編【男主】 (ページ8)

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『両親』ページ8

ＮＯsaid

兄は弟を｢愚弟(ぐてい)｣と呼び愛した

弟は兄を｢復讐者｣として嫌悪(けんお)していた

兄の愛は弟を殺し、胃へと納め

弟は兄の一方的な愛で殺され、兄の力へと変わった

振り向いて欲しい相手は兄にしか相手にしなかったが

周りの音を聴いていた兄にはその相手は邪魔者だった

兄と弟は両親を喰べた

弟はまだ首が座っていない時に両親を奪われ、記憶が少しも無かった

兄は飾り付けに使われた指輪で全てを悟った

現在両親の指輪はチェーンを通し、影乃の首へとかかっている

両親が遺したのは指輪だけ

弟の身体は喰べてしまい、遺った首は〔ＣＣＧ〕にあるか、処分されたか

もしかしたら両親の首もあるかもしれない

母は顔は整っていたが、いつも無愛想な表情をして周りは遠くで見るだけだった

父は表情豊かで馴れ馴れしく、たくさんの“ヒト”や“喰種”の中心にいた

母の不器用に撫でる手が好きだった

父の変わる表情が好きだった

弟は母の無愛想と父の感情豊かを受け継ぎ

兄は母の残虐性と父の表情豊かを受け継いだ

別に両親がいなくなっても弟がいなくなっても兄は哀しくはなかった

「こんな俺は最低な奴だろうな」

同じ食事を喰べるなんて事は憧れてない

話を共有して笑い合うなんて事は憧れてない

もしこの指輪が無くなっても俺は捜しもしないだろうな