【東京喰種】モノクロ狐番外編【男主】 (ページ50)

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『もし』ページ50

この話にしか登場しないので主人公の初恋相手の名前は変更無しとなります。

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もし、彼女が生きていたなら。

もし、彼が世界を憎まなければ。

もし、二人が結ばれていたら。

彼女と彼は幸せになれただろう。

遊ぶ子どもの声を聞きながら男と女は庭に出ている椅子に腰掛け、コサメが淹れたコーヒーを優雅に飲む。

テーブルに置かれた女の手を男は優しく包み、にこやかに微笑む。

「こんな幸せの世界に居続けたら俺の脳みそはハチミツより甘くなりそうだ」

「そしたらパンに塗りたくって喰ってやるよ」

「ハハッ！脳みそと一緒に喰えばヒトが食うパンも食えるかな」

笑いのツボに入ったのか男────影乃楽は笑い続ける。影乃の笑い声をＢＧＭに女────影乃の初恋相手である真希は静かにコーヒーを飲む。

「ラクちゃん！」

ドタバタと現れたコウに薄らと浮かぶ涙を拭きながら影乃の笑い声は止まる。

「どうした？」

「コブちゃんがね！コウをいじめるの！」

「それホント？コブ」

コウの後ろからのっそりと現れたコブは不機嫌な顔でコウを睨む。

「チビ兎がチビ共に変な事言ってたんスよ」

「変な事じゃないもん！ラクちゃんとマキちゃんはとってもラブラブなんだよって教えてあげただけだよ！」

「それだけじゃねーだろ！
テメー赤ん坊の作り方が“コウノトリが運んで来る”だァ？俺がアイツらの歳にャ知ってたぞ！」

ギャーギャーと騒ぐ二人に影乃と真希は笑みを浮かべ二人を見つめる。

「申し訳ございません、ラクさま、マキさま」

新しいコーヒーを持ってきたコサメは眉を八の字にし、申し訳なさそうに頭を下げる。

「いいよ、アイツらはあれぐらいが丁度良い」

「お前の部下は仲が良いな」

｢だろー？｣と言いながら二杯目のコーヒーを飲む影乃にコサメは静かに微笑む。

「パパー！ママー！遊ぼー！」

大きく手を振る娘と静かに隣に立つ息子に影乃は目を細める。

「ホント、幸せ過ぎて泣けちゃうね」

「いつまで続くんかね」

「今この瞬間を俺は噛み締めるよ」

幼い娘と幼い息子を抱え、影乃は幸せそうに微笑んだ。

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お話がいっぱいになったので取り敢えずはこれでお終いです。また、書きたくなった頃に続編を出すかもしれません。