【東京喰種】モノクロ狐番外編【男主】 (ページ32)

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『追跡』ページ32

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･･･ひとーつ、ふたーつ、みーつ

手で軽く目を覆い、数を数える。

目を閉じると標的の息遣いがよく聞こえる。はぁはぁと荒い息は遠くに行く。

「とお、もーいいかい？」

相手は馬鹿ではないようだ。ここで返事をしてくれれば見逃してあげたのに。

「じゃあ、探すね〜」

視界を潰さなくても聞こえる息を聞き取りながら、探すフリをする。

「あんれ？ここかと思ったんだけどな」

標的の隣の扉を開けて確認してから部屋を後にする･･･フリをする。

息を殺して待っているとゆっくりと扉が開く。

「もう、行った？」

運が無いな。この扉が引く扉か引き戸なら少しは気付けただろうに。俺は扉を挟み、待機している。

「んー、残念ッ！」

「っ！？」

ホラー映画のヒロインの様な表情をし、腰を抜かす。これが本当のホラー映画なら助かっただろうに、本当に運が無い。

「本当に運が無いのか試そうか」

「･･･あ、あぁ」

ビキビキと生える尾赫を見つめるだけで、逃げる気力はもうないな。

「明日君は地を踏むことが出来るのかな？」

｢無理だろうね｣と自分で答え、両足を切り落とす。耳をつんざく声が聞こえるが無視に限る。

「運が良ければ君は生きていけるよ」

｢頑張れ｣と声を掛けてその場を後にする。人通りが無いのに助けを求めるのは難しいだろうな。