【東京喰種】モノクロ狐番外編【男主】 (ページ14)

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『制限』ページ14

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余裕を持つと何かを制限して遊ぶのが楽しかったが今回は久々に痛い思いをした。今回は｢赫子縛り｣をした。

「あらよっと」

襲い掛かる“喰種”の尾赫を掴み引っ張ると伸ばせないのかこちらに引き寄せられる。こちらに来る勢いのまま拳を“喰種”の顔面へとめり込ませる。

不良の喧嘩みたいで楽しかった。────が、最近の奴らは骨がある奴が現れず俺は油断し過ぎた。

《ゴッ！》

頭部に衝撃が走り、頭から何かが流れてくる。頭を触り、掌を見ると赤い液体がべったりと付いていた。

「あー･･･」

それが血だと気付いた時には激痛が走り、俺はうつ伏せに倒れる。倒れた時に面が顔にめり込むようで痛かった。意識が落ちる前に“喰種”の奴らが喜んでいる声が微かに聞こえる。

「やったぞ！」

「キツネ狩りができたぜ！！」

「これでオレたちは最強だ！」

あァ、コイツらは不幸な奴らだな。俺の意識がなくなれば赫子が暴走するのは確実なのに。バキバキと自分の身体から音が鳴っているのを感じながら、意識を手放した。

────夢を見た。

大好きな親父におんぶしてもらい、おふくろはアイをまっさらな布で包み込んでいる。アイはケラケラと笑い、俺はおふくろ譲りの笑みを浮かべた。

「────ん」

もぞりと動くと見覚えのある逞しい背中が俺を背負っていた。コブがなぜここを知ったのかは知らないが、今回は来てくれて助かった。

「悪いね、こんな弱い主で」

「いえ、ラクさん自分の背中見た方がいいっスよ」

「背中？」

重い背中を見るとなんと甲赫が木のように生えており、枝の先には先ほど遊んでいた“喰種”たちが刺さっていた。

「重っ！」

驚いて甲赫を引っ込めると煙のように消え、息絶えた“喰種”たちは地面へと落ちる。

「あー、今回はしくじった」

「珍しいっスね、あんなに追い詰められるなんて」

頭を触ると血は止まっているが髪の毛が乾いてパサパサだ。風呂に入ったら大惨事だろうな。

「今回は学んだ

舐めた戦いすると命取りになるってな」

脚を揺らし、月を眺める。何年ぶりかに家族の夢を見た。

首にかかっているチェーンを引っ張り出すと大きさの異なった親父とおふくろの唯一の遺品の指輪。

大きな甲赫を出したからか身体は休息を求める。そのままコブの背中に全体重を預け、眠りの世界へと旅立つ。

出来ればさっきの夢の続きが見たい。心が暖まるあの夢を。