『白鴉』 ページ11
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女と男の遺伝子を分け合い出来るのが子である
しかし、遺伝子とは時に予想もつかない出来事が起こるものである
────と俺は思っている
楽しい事を探しながら散歩をしていると白い塊が木の根本の近くに落ちていた
爪先で突っつくと白い塊がもぞもぞと動く
ほにゃほにゃと締りのない声で鳴きながら俺の爪先を見る
なんと、珍しい白いカラスではないか
近くの木を見上げるとカラスの巣がある
なるほど紅一点ならぬ白一点であるこの雛は狙われるから捨てたんだな
俺ならそいつを的にさせて後ろから襲うけどな
“喰種”と鳥は大きく違うから理解はしないだろう
腹が減っているのか、未だほにゃほにゃと鳴いている
両手で包み込み、拾い見上げると
親であろう真っ黒なカラスが俺を見ていた
正直カラスの種類はわからん、烏なのか鴉なのか漢字も曖昧
己が捨てたのに親カラスは俺がどうするのか見ている
「この子貰うね」
カラスは賢い、俺の言葉を理解したのか「カァー」と鳴いて他の雛を構い始めた
さてと、許可を貰えた事だし腹ぺこな雛カラスの餌を探しに行こう
────それから数ヶ月
白いカラスは無事に成長し、大きくなった
名を呼べば俺の肩へと留まり、何の用かと頭を擦り付ける
膝の上で丸まったかと思えば、昼寝をする
餌はいつの間にか自分で探すようになった
太陽に透ける羽が俺のお気に入り
手羽が丸見えで面白い
狐のコリがヤキモチを焼くかと思えば、母性が湧いたのかそれはそれは我が子のように可愛がってくれた
あの時のデブ猫みたく殺すのかと思っていたがそれは無駄な心配に終わった
「────キナリ」
バサバサと羽ばたく音がしたかと思えば、俺の肩に留まる
「白」じゃ味気ないから白に似ている「
カラスは賢いから好きだ
仕留め損ねた相手を足止めしてくれたり、気を散らしてくれたりする
月光に反射するキナリの羽の色は輝いて美しい
相手がキナリに見とれている間に尾赫をこっそり出して一発で仕留める
視線を感じ見上げると電柱の電線にカラスが留まっていた
直感的にあの時の親カラスだと感じる
「そんな心配しなさんな
立派に成長して、俺の手伝いしてくれるんだ」
理解したのか親カラスは飛び立った
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作者名:水無月 | 作成日時:2017年9月14日 3時