少年少女、夢物語 (ページ16)

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二人の世界ページ16

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駅のホームで電車を待っていると線路を挟んだ向こうにくたびれた父を見つけた。

帰った時母に父を見たと話題にする為にカメラを起動させる。

父が乗るであろう電車が来るという知らせを右から左へと受け流し、父へとカメラのピントを合わせる。最近部活が忙しくまともに父を見なかったが、外で見る父は周りの人より小さく見えた。

電車が来る前に撮ろうと一枚目を撮る。やはり画面の中の父は周りより小さい。

満足しなかったので二枚目を撮ろうと構えると父の身体が前へと傾く。

｢え･･･｣

前へと進む父の足はコンクリートを踏まずに宙を踏み、今もコンクリートに付いている片足を前に進めた。

思わず携帯の画面を指で押し付けた。私の携帯は長押しをすると連写されるので｢カシャカシャ｣と父を撮り続けた。

その音に父はこちらを向いた。幸いと言えるのか周りは父しか見ていないので私のシャッター音には誰も見向きもしなかった。

まるでテレビの奇跡映像や決定的なホラー映像を流す時のようにスローモーションで父と電車はぶつかった。

翌日、携帯の画像フォルダからこちらを見る父を見ていたが父と言うより助けを求める一人のサラリーマンのように私は見えた。

私と母は主役が居ない誕生日会を開いた。