少年少女、夢物語 (ページ15)

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心が無いのに恋をしましたページ15

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機械は幼い少女に造られた

少女は女性へと成長した

機械は無機物だから成長はしない

時々部品を変えるくらい

時代は進むにつれ自分は旧型へと年老いていった

それなのにマスターは自分をメンテナンスしてくれる

同期の機械は分解され新型の部品へとなる

自分には音声機能が無い

マスターに訊くことは出来ず身の回りの世話をする日々

ある日マスターが機械と会話が出来る機械を造った

音声機能が無い自分の為に造られた機械

これを機にマスターに尋ねてみた

するとマスターは顔を真っ赤にした

なんと自分に愛着を持ったそうだ

愛着とはなんだ

自分を大切に思ってくれているのだろうか

愛着の意味を知っている知り合いに訊いたら

自分がオーバーヒートを起こした

マスターは焦り、原因が分からなく自分も焦った

マスターと対面する度にオーバーヒートを起こした

結局原因は不明のままマスターは年老いていき自由が利かなくなった

「結局君のオーバーヒートの原因は分からず仕舞いだな」

マスターの寿命は近い

それは機械の自分でも分かってしまった

マスターは土の中へと入ってしまった

それから自分は墓守としてマスターの傍にいる

自分の通訳役として造られた機械はとうの昔に壊れてしまった

『よお、久しいな』

マスターの友人が造った機械がガタガタと音を鳴らして花を持ってきた

音声機能が無い自分には会話が出来ない

『ご主人の友人にオーバーヒート起こす奴がいてな

原因知ってっか？恋してたんだとよソイツ

ソイツは分解されたんだとよ』

その言葉を聞いたら心が無いのにストンと何かが収まった

そうか自分はマスターに恋していたんだ

『おっと、そろそろご主人の飯の時間だ』

『じゃーな』とガタがきている身体を鳴らし、知り合いは帰って行った

マスターに教えたい

オーバーヒートの原因が分からず悔しそうに亡くなってしまった

『･･･ア、アイ･･････シ･･･テル』

壊れたはずの通訳機械が言葉を吐いた

心が無いのに痛い

胸に埋められた記憶チップが悲鳴をあげている