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「痛…」
集中出来ない。
撮影も終わって、
さっさと自宅に帰ってきたけど。
隣の部屋に入っていったてっちゃんと彼女の
ことが気になって仕事に身に入らない。
刺繍していたら手に針先が刺さってしまった。
プクッと浮き上がる赤い粒。
それをぼっっと見つめてると視界が
ぼやけるのがわかった。
「あれ……なんで」
それが涙だと気づいた時にはもう、
止められなくなっていた。
何度繰り返せば気が済むんだろう。
こんな辛い気持ちを、いつまで続けたら。
わたしはてっちゃんの隣にずっと
いられるんだろう。
どうしてだろう。
こんなに近くにいるのに。
心はこんなに遠いなんて。
その日はイヤホンをして、音楽のボリュームを
MAXまで上げてから眠った。
何も聞きたくない、聞こえてきて欲しくない。
お願いだから。
深く布団に潜り直し、ぎゅっと目を瞑った。
早く夢の世界へ行けるよう。
――――――――
―――――
――
…
今日は撮影の予定はない。
きっと彼女はてっちゃんの部屋にいるんだろうな。
こんな部屋、早く出てしまいたくて
身支度を早朝に済ませて行くあてもないのに
雨の中、外へ飛び出すようにして出た。
薄暗く、雨がザーザーと音を立てて地面へ
ぶつかる。
透明なビニール傘に雨粒がバラバラと
零れていくのをぼっっと見つめながら
歩いた。
何処に行こう。
どこに行けば彼らを見ずに済むだろう。
ブー…ブー…ブー…
ポケットの中でスマホが震えている。
『としみつ』
液晶画面に映し出される親友の名前。
甘えていいかな。
こんな時だけ、彼に縋って利用するような
ことしていいかな。
だめだ。
でも心が叫んで、
彼に会いたいと。
ひとりで居るのは辛いと。
人差し指が、通話ボタンを押していた。
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まる - 最高です...続き待ってます！ (2022年2月18日 11時) (
レス) id: 61b78aff2e (このIDを非表示/違反報告)
お稲荷大好き(プロフ) - ふぉーーー続きが気になる!! (2021年1月23日 23時) (レス) id: 81eca2f435 (このIDを非表示/違反報告)
yui(プロフ) - 乃亜さん» ありがとうございます、嬉しいです！ゆっくりですが、更新していきますので、よろしくお願いいたします (2020年11月8日 7時) (レス) id: e1f8560539 (このIDを非表示/違反報告)
乃亜(プロフ) - こういうお話大好きです！更新楽しみにしてます！ (2020年11月7日 4時) (レス) id: 8b5f6f1ca3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：yui | 作成日時：2020年11月4日 15時
