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「うわぁぁぁ…ぜっったいやらかしたよな…でも食べ物を粗末にするのよくないよね?しかも人が自分の為に作ってくれたものだよ!?」
私は自問自答をしながら廊下を歩く。
「のうカンナよ。1人で何やら怒ってどうしたのだ?」
「うわぁぁぁ!?!?!?」
突然上から現れたリリアに私は大声を出しながら驚く。そんな顔を見てリリアはくふふと笑う。
「せっかくの愛らしい顔が勿体ないではないか」
「悩みなら聞くぞ」とリリアは続けた。
その低く心地よくて凛としていてとても落ち着いた様な諭されているような声に私の怒りは収まっていく。
すると、
“ マロンタルトが食べたかった ”
オーバーブロットが終わった後にそう泣きじゃくったリドル先輩を思い出したのだ。
食べ物が勿体ないなんて、自分のために作ってくれたものなんてわかりきっていること。
しかしトレイ先輩の様に自分でルールを違反すれば寮長としての顔に自分で泥を塗る…又は自分の中で1番の大正解な存在である母を否定すると共に自分の事も否定してしまう事になる。
それがどれだけつらいことなのか。きっと彼も葛藤しているのだろうか。
そんな考えが頭を駆け巡る。
黙り込む私を見かねたリリアは
「談話室で少し、年寄りの話に付き合ってくれんか?とびっきり美味しいお茶を淹れよう」
そう言って私の背中を優しく擦りながら談話室へと私を誘導したのだった。
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サヤ(プロフ) - 続きが楽しみです!頑張ってください! (2021年3月8日 23時) (レス) id: 4f60a72d2e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ハヌル | 作成日時:2020年10月26日 22時