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話のスピードも酒のスピードも落ちることも無く、今は昔話に夢中だった。
その時、衛輔の携帯がなる。
少し酔った衛輔はそのまま電話に出て誰かと話していた。
電話を切った衛輔はにやにやした。
「うわ何ニヤけてんだよ彼女?」
「ちげーよ!今仕事終わったからこっちに向かうって」
「え!誰ですか!?彼女!?」
「だからちげぇって言ってんだろ!リエーフ!」
ここでまたひと笑いが起きた。
高校の時のノリが大人になった今でもできるって言うのはある意味男の特権なのかもしれない。
酔っていたからか知らないが、俺はこれから来る人が誰なのかを聞くのを忘れた。
聞いていたら逃げていたのかもしれない。
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「よぅ夜久衛輔くぅんお元気でしたか〜?」
やけに聞き覚えのある声が頭の上から降ってきた。
俺は目線を上にあげる。
そこには俺の元彼、黒尾鉄朗がいた。
「えっ」
「えっ」
目が合い2人して固まってしまった。
しかし、「黒尾さ〜ん!お久しぶりです〜!」というリエーフのはしゃいだ声で空気が固まることは無かった。
この時だけリエーフに感謝しよう。
「あいっかわらず胡散臭い顔してんな詐欺師みてぇ」
「なんですか?彪雅くんこそ幼さが抜けてないんじゃないんですか?年確されない?大丈夫〜?」
「はぁ!?もうアラサーなんですけどぉー!?まあ、アラサーになっても?未成年に見えるってのはそれだけ俺の顔は老けてなくていけてるってことだよね〜?」
「そんなこと言ってません〜!」
酒を飲めば気まずさなんてなくなり俺たちは普通に高校の時のように言い合いをしていた。
衛輔と黒尾が仲悪いって思われがちだが元々は俺と黒尾がしょっちゅう喧嘩している。
俺らの言い合いはヒートアップしていく一方リエーフと衛輔は「また始まった…」と頭を抱えた。
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作者名:ハヌル | 作成日時:2020年7月25日 14時