. ページ11
.
「痛った…」
ベットから出る時に久々に感じた腰の痛み…
「これは…」
俺は相手の方を見た。
うつ伏せで枕をたたみ髪が立っている状態で寝てる相手…。
元恋人の俺なら分かる。黒尾だ。
「死にたい。」
俺は滅多に吸わないタバコをベランダで吸うべく服を着始めた。
.
「翔陽!飛雄!またなー!」
「彪雅さん!また飲みましょうね!」
「日向飲みすぎだボケェ!…彪雅さん。黒尾さんまた」
軽くお辞儀をした飛雄はべろんべろんに酔った翔陽を抱えて帰るのを見送る俺と黒尾。
俺も飲みすぎたみたいで黒尾に抱えられていた。
「さー帰るぞ」
家から近いこともあり、俺も夜風にあたりたいからと歩いて帰った。
.
ここまでは覚えてる。
覚えてるんだよ…
帰ったあと…どうしたんだっけ…。
.
「黒尾はなんでそんな俺に構うんだよ〜」
「んー?どうしたの?彪雅さぁん。ほんと酔ってますね?」
にやにやする黒尾が気持ち悪い。
2人で俺の家で飲み直しながら談笑していた。
距離は付き合っていた時のように隣で…。
「いいから答えろって」
「彪雅がすきだからかなぁ」
「お前ほんと自分勝手だな。フったくせに急に現れて好きだーってかまちょしてアピールして俺の事振り回しすぎー!」
「うっ…それはごめん…」
黒尾は本当に悪いと思ってるような顔をして謝った。
違う。俺はその顔が見たいんじゃなくて…
気づいたら手を伸ばして黒尾にキスをしていた。
段々と深くなるキスに黒尾は目を見開き驚いていたが受け入れたのかあの時のようにキスをしてくれた。
「…俺もずっと忘れられなかったのに。蓋をしようと思ってたのに…どうしてくれんだよぉ…」
.
「俺が悪いわ。」
俺は最悪なことに酒で記憶が消えるということがほぼない。
酒のおかげで蓋をしていた気持ちが溢れ出していた故の行動。
見て見ぬふりしていた感情を目の当たりにする。
二日酔いの気だるさと頭痛と共に感じるこの感情をどうも受け止めきれずにいた。
「彪雅…起きたのか…」
振り返ると昨日の事を覚えているのか、気まずい顔をした黒尾が立っていた。
.
12人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ハヌル | 作成日時:2020年7月25日 14時