世界は残酷だ【HQ】【男主】

8．日常 ページ17

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俺、桐島葵は同じクラス、隣の席のバレー部セッター宮侑と付き合いました。
と言っても付き合ったからといって何かが特別に変わるわけではない。
元々抱きついたりなどのスキンシップが激しかった侑は変わらず休み時間毎回抱きついてくる。
放課後も時間があった時一緒に帰り、夜も電話をして寝る。
変わったところをいくつかあげるとしたら、俺の心境が大きく変わったと思う。
今までは好きということを認めていなかったが、認めてしまった。
人は1度認めてしまうとそれに関しては素直になるみたいだ。
現に、抱きつかれて今までは暑いうざいと思っていたが向こうが癒される為にくっついてるのに俺も癒されてしまっている。
放課後もいつもならさっさと帰ってしまうところを日誌をわざとゆったり書いてたり、勉強、図書室で本を読むなどと時間を潰してあえて時間があったのがたまたまかのような素振りをしている。
夜の電話も「もう寝るから切るべ」と俺から言っていたのに切りたくなくなりそんなことを言う訳もなくお互い切ると言わないから朝まで繋がっていたりする。

意外と俺の方が惚れてるのかもしれない。


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「お、葵今日も居残りしてたん？」
「うん。黒板消し頼まれちゃって」

当然嘘だ。
侑が部活行った後、黒板の上を消しづらそうにしている女子を見て「俺やっとくから部活行ったら？」と進んでやったのだ。
しかも、俺の身長ならすぐ届くからすぐ終わってしまう。
まあ、終わったあとは寝てたんだけど。
アラームに反応して起きれた自分を褒め称えたい。
バッチグーなタイミングで侑に会えた。
よくやった俺！！

「葵。お前ほんっっっまかわええな」
「何が？」
「わざと部活終わる時間に帰っとるやろ？」
「へ？」

まさかの図星で俺は一気に振り返り侑を見る。
当の本人はニヤニヤしていて街頭に照らされた顔は少し赤らんでいた。

「なっ…！なんであんたに合わせないといけないんだよ！」
「俺のためやないん…？」

反論をするとしゅんと分かりやすく落ち込む侑。
犬のしっぽが下がったように見え良心が少しだけ傷んだ。

「…まあ、一緒に帰れたらなと思ってたけど…」

顔を見るのが恥ずかしくて俺は前を向いて小さな声で言った。
斜め後ろからは「はぁ〜…なんなん…俺の葵可愛すぎやろ…」と弱々しい声が聞こえる。

「葵」
「なん…っ…」

突然名前を呼ばれ振り向く。
気づけばドアップの侑の顔と、やたらと熱い唇の感触だけが残った。


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