2.憧れの背中 ページ9
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「はぁ?ほんきでいってるの、かーさん」
______氷室A、六歳。現在の職業は保育園の年長さん。
近々うちの保育園の年長組は遠足があるようで、私たち園児はその時持参するお菓子(300円以内)を、近くのコンビニで調達することになった。……の、だが。
「ごめんねぇ。どうしてもお仕事抜け出せなくて」
「…………まぁアイツらふたりくらい、べつにいーけどさ」
「ほんとにありがとう、A。車には気をつけてね」
「はいはい」
どうも隣町にある保育園も同じ時期に遠足があるようで、私は母から陣平と研二の子守りを任された。
母曰く、私なら一人でもおつかい出来るだろうから、二人のお菓子選びに同行してあげてほしい、とのこと。
いや、母さんよ。
あまりにもガキらしくない言動で忘れているかもしれないが、こんな私でも一応園児だ。
ガキにガキの子守りを任せるって大人としてどうなんだ。
そうは思うものの、母の忙しそうな背中を知っている私は、結局首を縦に振ってしまうのだ。
「じゃあ、お母さんお仕事行ってくるね。何かあったら公衆電話から電話して?」
「はいはい、わかったわかった。はやくいかないとちこくするよ」
頼んだもののやはり後ろ髪が引かれるのか、扉が閉まる直前まで私を気にする母を見送って、あいつらの居るリビングに戻る。
お人好しというのも時に困りものだ。
あいつらが勝手にうちに突撃してきたんだから、無理ならちゃっちゃと追い出せば良いのに。
あいつらの両親から「うちの子をよろしくお願いします」と電話で言われた母は、どうやらハッキリと断れなかったらしい。
我が母親ながら困ったものだ。
「おい、じんぺー、けんじ。えんそくのおやつかいに……」
「あ、やべっ」
「ほら!だからいったじゃん!!」
早速あいつらを連れてコンビニに行くか、とリビングの扉を開けると同時に、視界に入り込む私のスタンド“だった”物。
それはものの見事に改造され、恐竜のような形へと変貌していた。
しまった、というような顔を浮かべる二人の横で、ウイーンと上下に動く恐竜型のスタンドの腕。
___次の瞬間、陣平の頭には私の拳がめり込んでいた。
「いっでぇえええ!!!!」
「ひえ……」
「……なぁじんぺー、ごめんなさいは?」
「ひっ」
「ご、め、ん、な、さ、い、は?」
「……ご、ごめんなさい」
この一件以来、陣平がちゃんと謝れるようになったのは、また別の話である。
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あ(プロフ) - いつまでも続き待ってます。 (12月22日 23時) (レス) id: 2607c1000c (このIDを非表示/違反報告)
ユナ(プロフ) - 尊い、、、むり、、、これは尊すぎる好き (9月28日 1時) (レス) @page23 id: 0e552ce067 (このIDを非表示/違反報告)
雪見大福(プロフ) - 好きです!これからも無理せず頑張ってください!更新を楽しみにしてます (8月12日 15時) (レス) @page23 id: 4031fb98ab (このIDを非表示/違反報告)
黒谷桃里(プロフ) - ウッッッッッ!!!!めちゃくちゃ好きです!!!!可愛い…… (7月11日 2時) (レス) id: eae39e15db (このIDを非表示/違反報告)
さくらこ(プロフ) - もう更新はしないのでしょうか? (5月18日 23時) (レス) @page23 id: cae0d8d8c8 (このIDを非表示/違反報告)
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