転生したはいいが、ガキ共からの逆ハーは望んでない【警察学校組】 (ページ4)

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「やっほー、わたる」

「やっほーじゃない！またセンセーにおこられるぞ！」

「ははっ、しらねぇしらねぇ。あんなのいわせときゃいーだろ」

まるで学級委員のような怒り方をする彼を、私は半笑いで軽くあしらう。

そんな不真面目な態度にも、彼は心底お怒りなようだ。

＿＿＿園児のくせにこうして私にお節介を焼いてくるこいつは、同じ年長組の伊達航。

この保育園には途中から転園してきた子どもで、最初の頃に気まぐれで声をかけてやったら、謎に懐かれてしまった。

園児と馴れ合う気は全くなかったんだけどな。

結局私もそこらの大人と同じで、困っている子どもにはつい手を貸したくなってしまうのだ。

「なぁ、Aちゃん。ほんとにセンセーにおこられるよ」

「だからいいっていってんだろー」

「よくねーよ。ボク、Aちゃんにおこられてほしくないもん」

「……」

……やはり子どもの考えることは分からない。

他人が先生に怒られていようが放っとけば良いのに、何故かそれをしようとしない。

おまけにそれを本人に直接伝えてくる始末だ。

ここまで純粋だといっそ怖いな。

その思いを利用されるかもしれない、なんて考えたりはしないのだろうか。

徐に、宙に投げていた視線を航の方に向ける。

私を真っ直ぐに見上げる、木漏れ日を写してキラキラと輝く、穢れの【け】の字も知らなそうな双眸。

……私も本当は今頃、あんな目をしていたのだろうか。

「……しかたねーな」

自身に言い聞かせるようにそう零し、一旦航に離れるように言って、高さ2mほどの位置から飛び降りる。

そうだ、これは仕方ないことなのだ。

いくら怒られ慣れているからといって、何も好き好んで怒られたいわけじゃない。

先生に告げ口される可能性を消すためには、こうするしかなかった。それだけだ。

「あー！Aちゃんとわたるくん、またいっしょー！」

「けっこんしてちゅーするんだー！」

「しねぇよクソガキ」

キャーキャー騒ぐ園児達に思わず中指を立てたくなるが、寸前で抑えて「行くぞ」と航の手を引いて歩き出す。

そうしてジャングルジムに登って早々、航が「ねぇねぇ」と話しかけてくる。

「さっきいってた“くそがき”ってなに？」

「わたしみたいなこどものこと」

「へー！じゃあすげーやさしいってことか！」

それは少しの悪意も感じられない、ただひたすらに純粋な言葉だった。

……はー、ほんとそういうとこだぞお前。

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