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5.火のない所の煙 ページ23










______諸伏家で発生した例の事件から、約一週間後の休日。




私、氷室Aは、母からの説明に包み隠すことのない態度で「は?」と声を漏らしていた。








「___では、景光のことをどうかよろしくお願いします」








時を遡ること十分前。


母に呼ばれて自室から降りてきた私は、全くもって予想していなかった姿を発見し、「あれ?」と疑問を溢した。





なんとそこには、我が母上に深々と頭を下げているおばさんと、その後ろで可愛らしい恐竜のぬいぐるみを抱きしめている景光の姿があったのだ。




諸伏家と一年に何度かは顔を合わせているとは言っても、いつも赴くのは我が家の方で、彼の家が東京に足を運んできたことは過去一度もなかった。



だからこそこの前も私一人で長野に行ったわけで、ただでさえイレギュラーな訪問なのに、つい一週間前にも顔を合わせた彼らがなぜここに居るのか。






ありとあらゆる可能性を頭の中で列挙していると、不意に目があった景光が、今世紀で一番と評されそうな満面の笑みを私に向けてくる。




なんだ、私は愛と勇気のヒーローか何か?








「Aちゃん……!!」


「うぉおっ、今日は一段と元気だな景光」




「あ、Aちゃん……」








靴をポイッ、ポイッと脱ぎ捨てて勢いよく駆け寄ってきた景光を抱き止めると、彼とは対照的に、どこか複雑な笑みを浮かべたおばさんと目が合う。




その笑みの真意を、後の私は嫌というほどに理解することとなる。





おばさんは癖で景光の背中を撫でている私と目線を合わせるかのように、静かにその場でしゃがみ込む。


そして、重たい口を開くなり、「ごめんね」の四文字を呟いた。








「景光のこと、どうかよろしくね」


「え?」


「きっとAちゃんの側なら、その子もいつも通りだと思うから」








私の側なら(・・・・・)……?



分からない。おばさんは一体なんの話をしてるんだ。


景光は既にいつも通りだろ。





そうして私が言葉の意味を咀嚼しきる前に、おばさんは景光と手を振り合って、玄関扉の向こうへと消えていってしまった。




……ん?ちょっと待て。


私に抱きついたままの景光はどうするんだ?

一緒に連れ帰らないのか?



それに景光のことをよろしくって、一体どういう意味だ?









「……A、驚かないで聞いてね」


「え、うん」








母のその前振りに、思わず固唾を呑んで身構える。









「暫くの間、景光君はうちで預かることになったの」


「……は?」








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(プロフ) - いつまでも続き待ってます。 (12月22日 23時) (レス) id: 2607c1000c (このIDを非表示/違反報告)
ユナ(プロフ) - 尊い、、、むり、、、これは尊すぎる好き (9月28日 1時) (レス) @page23 id: 0e552ce067 (このIDを非表示/違反報告)
雪見大福(プロフ) - 好きです!これからも無理せず頑張ってください!更新を楽しみにしてます (8月12日 15時) (レス) @page23 id: 4031fb98ab (このIDを非表示/違反報告)
黒谷桃里(プロフ) - ウッッッッッ!!!!めちゃくちゃ好きです!!!!可愛い…… (7月11日 2時) (レス) id: eae39e15db (このIDを非表示/違反報告)
さくらこ(プロフ) - もう更新はしないのでしょうか? (5月18日 23時) (レス) @page23 id: cae0d8d8c8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:無糖 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2022年6月26日 16時

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