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だが親父さんが下手に出たことにより、男の言動はより激しさを増していった。
暴言を吐き、肩を踏みつけ、木刀を床に叩きつける音が響き渡る。
多分警察には既に連絡済みだろうから、後はどれだけ時間を稼げるかなんだけど。
そろそろ親父さんだけでは難しいのかもしれない。
ぐるりと見渡した店内。
子どもは勿論のこと、妊婦の人も居るし、年配の人もいる。
一か八か、私が大声で泣き喚けば男の注意を逸らせるか?
いやしかし、生まれた瞬間以外で泣いたことがほぼ無い奴に、一体どうしろと。
くっそ、さっさと来いよサツ!!!
「チッ、いい加減鬱陶しいんだよ!!このクソジジイ!!!」
遂に痺れを切らした犯人が、持っていた木刀を大きく振りかぶる。
その光景を見た途端、脳内には「あ、これ傍観してる場合じゃねぇや」と冷静に状況分析をする私が顔を覗かせてきて。
咄嗟に策を練るよりも早く、体の方が先に男と親父さんの間に割り込んでいた。
振り下ろされる木刀に「ヤバイ」と思うが時既に遅し。
力任せに頭をぶん殴られた私は、グルリと回転する視界を最後に、一瞬で意識を手放した。
あの野郎ぜってーぶっ殺す。
そう胸に誓って。
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______次に目を覚ますと、そこは病院のベッドの上だった。
家の塀に頭をぶつけてもかすり傷で済む石頭が功を奏したらしい。
頭にはただ清潔な包帯が巻かれているだけで、それ以外に目立った外傷はなかった。
いやー、これでまた人生三週目とかになったら流石に発狂するとこだったわ。
二度とあんな暗黒時代過ごしてたまるかって。
「っ、Aちゃん!!もうおきてだいじょーぶなの?!」
「A!!!いきてるっ!!!」
「かってにころすなバカたれ」
まだどこか痛みの残る頭を押さえながらため息を吐いていると、突然ガラガラと開けられる病室の扉。
そこに立っていたのはお菓子コーナーの所でじっとさせていた陣平と研二で、二人はいつも通りな私の様子にじわじわと涙を浮かべると、泣きながら私のベッドに駆け寄ってきた。
悪かったとは思っているが、流石に左右から抱きつかれると暑苦しい。
そしてお前ら、馬鹿でかい声で耳元で泣き喚くな。鼓膜が破れるだろうが。
はぁ、ったく……これだからガキの相手は。
「……いいかげんなきやめよなぁ、オマエら」
「だって、だって……っ、Aちゃんしんじゃやだぁ……!」
「だからしんでねーつってんだろ」
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あ(プロフ) - いつまでも続き待ってます。 (12月22日 23時) (レス) id: 2607c1000c (このIDを非表示/違反報告)
ユナ(プロフ) - 尊い、、、むり、、、これは尊すぎる好き (9月28日 1時) (レス) @page23 id: 0e552ce067 (このIDを非表示/違反報告)
雪見大福(プロフ) - 好きです!これからも無理せず頑張ってください!更新を楽しみにしてます (8月12日 15時) (レス) @page23 id: 4031fb98ab (このIDを非表示/違反報告)
黒谷桃里(プロフ) - ウッッッッッ!!!!めちゃくちゃ好きです!!!!可愛い…… (7月11日 2時) (レス) id: eae39e15db (このIDを非表示/違反報告)
さくらこ(プロフ) - もう更新はしないのでしょうか? (5月18日 23時) (レス) @page23 id: cae0d8d8c8 (このIDを非表示/違反報告)
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