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【プロローグ】 ページ1










______新卒で入社した会社は、朝に帰宅して朝に出るのが普通の、典型的なブラック企業だった。




今までに付き合った彼氏もまた、全員もれなくクズ野郎で金の無心と暴力なんてのは日常茶飯事。



この世の全ての男に嫌気が差し、恋人を作る行為そのものを諦めた後は、「男なんてクソ喰らえ」と独身人生を真っ逆さまに落ちていった。





ここまで聞くと、到底充実した人生とは思えないだろう。




だがたとえ会社と歴代の彼氏がクズでゴミだとしても、友人や家族に恵まれていた私にとっては、それらのことはちっぽけな足枷に過ぎなかった。



生きているだけで幸せだった。

誰かと笑い合えるだけで幸せだった。





それに何より、自分の人生が一時の迷いで終わってしまうことの方が、私には怖かった。







初めて大嫌いな会社の屋上から飛び降りようとした時、本気で死にたかったはずなのに、足がすくんで動けなかった。



足元から吹き抜ける風、握り締めた鉄柵の冷たさ、遠くに聞こえる都会の喧騒。


今まではなんとも思わなかったそれらに生きている実感を浴びせられ、気づいたら私は、泣きながら実家に電話していたのだ。





___あれ以降、私は一度も死のうとしたことはない。


勿論これからだって、どれだけ泥臭くても、懸命に生きていくつもりだった。








「ッ、___危ない!!!!」









けれど、そんな私の思いとは裏腹に、目の前に突きつけられるのは残酷な天秤で。




咄嗟に伸ばした指先は、状況を理解するよりも早く、駅のホームへと吸い込まれていく男の子の腕を掴んでいた。





それは子どもらしい、頼りない細腕だった。


力任せに引き寄せた小さな体は思いの外軽くて、元々武道を嗜んでいたこともあってか、彼の体は案外容易くホームに引き戻すことができた。




しかし反対に、咄嗟のことでバランスを崩した私の体は、ぐらりと線路の方へ傾いていて。





ここからはもう、想像通りの展開だ。





あのまま男の子と入れ替わる形で線路に転落した私は、最後の走馬灯を見ることなく、甲高いブレーキ音と共に生涯を終えた。









______次に目を覚ました時、なぜかそこは天国でも地獄でもなく、真っ暗な液体の中だった。



息苦しい。

何かに覆われているみたいで、手足も上手く動かせない。



そんな見動きが取れない状況に混乱していると、私の体は勢いよく暗闇の外へと追いやられた。








「______おめでとうございます!元気な女の子ですよ!」








絶対二周目入ったわこれ。







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(プロフ) - いつまでも続き待ってます。 (12月22日 23時) (レス) id: 2607c1000c (このIDを非表示/違反報告)
ユナ(プロフ) - 尊い、、、むり、、、これは尊すぎる好き (9月28日 1時) (レス) @page23 id: 0e552ce067 (このIDを非表示/違反報告)
雪見大福(プロフ) - 好きです!これからも無理せず頑張ってください!更新を楽しみにしてます (8月12日 15時) (レス) @page23 id: 4031fb98ab (このIDを非表示/違反報告)
黒谷桃里(プロフ) - ウッッッッッ!!!!めちゃくちゃ好きです!!!!可愛い…… (7月11日 2時) (レス) id: eae39e15db (このIDを非表示/違反報告)
さくらこ(プロフ) - もう更新はしないのでしょうか? (5月18日 23時) (レス) @page23 id: cae0d8d8c8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:無糖 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2022年6月26日 16時

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