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それからも私の花札連敗記録は増え続け、気晴らしに豚のしっぽやら7並べをして心の平穏を保っていると、リビングの方から「そろそろご飯だから降りておいでー」と呼ばれた。
飯に呼ばれたら速攻で降りていく何処ぞのクソガキ二人とは違い、ちゃんとトランプを箱にしまってから部屋を飛び出していく景光。
しかもその後を私がゆったりと追っていくと、階段を降りた所で先に行ったはずの景光が待っていて、「一緒に行こうAちゃん!」と手を握ってくる。
はーーーーー、どうやったらこんな良い子が育つんだ?
研二と陣平もこれくらい可愛げがあったら良いんだけどな??
「あらあら、手まで繋いじゃって。二人は相変わらず仲が良いのね」
「景光はよっぽどAちゃんから離れたくないんだな」
「うん!だってボク、Aちゃんだいすきだもん!!」
「そりゃなんともこーえーなことで」
「あっはは、君を見てると幼い頃の高明を思い出すよ」
あの子も小さい頃から大人びていたからね、としみじみ呟く親父さん。
その横顔を見上げながら、まぁそれもそうだろう、とも思う。
だって小学生にして三国志愛読してたんだぜ?
あの戦乱に魅力感じちゃってんだぜ?
そりゃそんじょそこらのガキとは比べ物にならんわなって。
因みに高明さんに向かって軽率に「三国志って何が面白いの?」なんて言った暁には約三時間ほど魅力を熱弁されるので、それ相応の覚悟を持って尋ねることをお勧めする。
実際に三時間正座で話を聞かされた私が言うんだから間違いない。
先人の言うことはちゃんと聞いといた方がいいぞ。
「っ……!おかーさん!このオムライス、すっごくおいしいよ!」
「うん、ホントにおいしいっす」
「ふふっ、そんなに喜んでくれるなら作った甲斐があるわ」
「二人とも食べ盛りなんだから、沢山おかわりするんだぞ」
親父さんの言葉に「はーい」と元気に返事をする景光。
一方私はまたもや「お腹のキャパと相談してからですかねぇ」と子供らしからぬ発言をして、二人を宇宙の彼方へと放り投げてしまった。
私将来の夢NASAにしよ。
そんな馬鹿げた考えと共に、黙々とオムライスを食べ勧める私の正面では、さりげなくおじさんにビールを運ぶおばさんの姿。
くっそ、なんて羨ましい光景なんだ。
私だって飲酒喫煙してぇよパト○ッシュ。
______ピンポーン
するとその時、穏やかな夕食中のリビングに、そんな無機質な音が響き渡った。
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あ(プロフ) - いつまでも続き待ってます。 (12月22日 23時) (レス) id: 2607c1000c (このIDを非表示/違反報告)
ユナ(プロフ) - 尊い、、、むり、、、これは尊すぎる好き (9月28日 1時) (レス) @page23 id: 0e552ce067 (このIDを非表示/違反報告)
雪見大福(プロフ) - 好きです!これからも無理せず頑張ってください!更新を楽しみにしてます (8月12日 15時) (レス) @page23 id: 4031fb98ab (このIDを非表示/違反報告)
黒谷桃里(プロフ) - ウッッッッッ!!!!めちゃくちゃ好きです!!!!可愛い…… (7月11日 2時) (レス) id: eae39e15db (このIDを非表示/違反報告)
さくらこ(プロフ) - もう更新はしないのでしょうか? (5月18日 23時) (レス) @page23 id: cae0d8d8c8 (このIDを非表示/違反報告)
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