▽１０ｃｍの恋▽

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今日もまた来る。









コンコン＿＿＿




ほら来た。








聡「やっほー、」





『もう夜の９時ですけど！』





聡「えー、いつものことじゃん！しかも今日は窓開けてるだけじゃん？」





『...両方開けたらもう来てるようなもんだけどね、』





聡「境目ほぼないからね(笑)」









そう。





私たちは家が隣同士のいわゆる幼馴染ってやつ。









でも、ただお隣さんってわけじゃない。




もとは同じ敷地を分割して建てた家だから、間の距離が異様に狭い。









その距離たったの１０ｃｍ






そんな条件に加えて、部屋が隣っていう偶然。









ここまできたら仕組まれてるんじゃないかと思ってしまう。









聡「あ、明日おばさん留守になるんでしょ？」






『そうそう。暇！』





聡「今呼んだ？？(笑)」





『呼んでないし！』






聡「まぁ、行くけどねーー。」






『はいはい。夜ご飯よろしくー。』






聡「それが人にもの頼む態度ですかー。」





『え、作りたいんでしょ？』






聡「なんでやねーん！」





『(笑)』









.








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昔から変わらないこの関係。





私の父親は単身赴任で



聡の母親は早くに亡くなってしまっている。








どちらかの家が留守になって１人になるときはこの窓を超えて遊びに行く。









聡がこっち来るたびにいつもおいしーいご飯を作ってくれるわけで、






わたしはその味が大好きだから、楽しみなんだ。









『んじゃ、お休みー』









.








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こんな関係が心地いいんだ。






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そう、思っていたんだけど＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿







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