眠れぬ夜 ページ18
兄弟との間に亀裂が入ってからもうどれ位経つだろう
まだそんなに前のことではない気もするが正確にはわからない
毎日毎日同じことをされ続けれると慣れると言うけれど私は未だにあの兄弟からの視線に慣れていなかった
視線に怯えるうちに兄弟と同じ場所にいることが辛くなり、自分の部屋に籠るようになっていった
ご飯の時も祈織の影に隠れるように座りできるだけ早く食べるようにしている
だが、部屋に戻るとだいたい戻してしまい体重もどんどん落ちていった
「私…このままで大丈夫なのかな?」
誰もいない部屋で1人呟く
何より辛いのは毎日の様にみる夢だ
誰もいない真っ暗な空間に1人ぽつんと立っていて反対の世界には信じてくれなかった兄弟達がいる
それでも祈織と琉生兄さんが側にいてくれるけど2人もいつの間にか遠くに行ってしまって本当に1人ぼっちになってしまったところでいつも目が醒める
この夢によって私はだいぶ寝不足になっている
眠りたい…けどあの夢は見たくない
そして私はとある部屋に向かった
* * * *
コンコン
「はい?」
「祈織、今日一緒に寝てもいい?」
勉強していた僕を訪ねてきたのは詩織だった
ドアを開けると寝間着姿の詩織がいて少し驚いたけどすぐに部屋に入れた
「勿論いいよ」
僕が承諾するとホッとしたような顔をする
きっと眠れてなかったんだろう
目の下に隈ができている
「ありがとう。おやすみ」
いそいそとベッドに入り直ぐに寝息が聞こえてくる
直ぐに静寂に戻った部屋の中で僕は再び参考書と向き合うことにした
* * * *
詩織が訪ねてきてから2時間ほど経ちそろそろ寝ようかと思っていた頃
「いやっ…行かないで!…ひっく…ひとりにしないでぇ…ひとりはいやなの…ぅっ…」
「詩織?」
詩織は眠りながら泣いていた
夢の中で誰かを引き留めようとして伸ばされた腕は空を切っていて僕はベッドに入り体ごと詩織を引き寄せた
「大丈夫だよ詩織。僕はずっとそばにいる。1人になんかしないから…だから安心しておやすみ」
瞳から零れた涙の雫を拭いながら僕は詩織に囁いた
すると安心したようにまた深い眠りに落ちていく
力をいれると折れてしまいそうな華奢な体を僕はぎゅっと抱き締めた
僕より少し低めの体温は昔から変わらなくてホッとする
夢の中くらいは詩織にとって優しい空間であってほしい
「おやすみ、詩織」
僕はそんな願いを込めて額に1つキスをした
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水無月のぞみ - 名前変換されてこそ夢小説じゃないの? (2022年1月11日 6時) (レス) id: 90a3a483bc (このIDを非表示/違反報告)
夕凪(プロフ) - ふぢさん» 最初のページに名前固定ですと明記してあります。ちゃんと読んでいただけたでしょうか?こちらも理由があって名前固定にしているので変えるつもりはありません。 (2014年12月1日 17時) (レス) id: cddaab9fd1 (このIDを非表示/違反報告)
ふぢ(プロフ) - 名前書くところ、すぐにつくってくださいやくなこと (2014年12月1日 17時) (レス) id: 06f239ce38 (このIDを非表示/違反報告)
来栖歩美(プロフ) - 更新、お疲れさまでした! (2014年11月18日 19時) (レス) id: 709b45f807 (このIDを非表示/違反報告)
トモ(プロフ) - 完結?おめでとー(*^ω^)ノ♪続編楽しみにしてる! (2014年11月18日 19時) (レス) id: 03b05e44d0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:夕凪 | 作成日時:2014年10月2日 1時