永遠の定義 ページ16
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「永遠って、あると思う？」
―――そんな言葉から始まった、彼女との会話を俺は今でも鮮明に覚えている。当時、同期とはいえあまり話すことがなかった為お世辞にも仲がいいとは言えなかった俺達。ただ、まあ同期達と飲みに行こうという話になった時にたまたま彼女もその飲み会に参加していて。お互い程よくお酒も入ってきた時に聞かれた彼女からの質問だった。
あるかないかで聞かれると、残酷な話だがそんなもの存在しないと思う。
俺がそう答えると、彼女は笑いながら「だよね〜」とグラスに残っているお酒をぐいっと一気に飲んだ。
「でもね、私思うんだよ」
「ん？」
「確かに永遠って存在しないけどさ。例えば、恋人がいたとして。そして、その恋人が亡くなっちゃうってなった時、最後に思い出すのが私だったら。その亡くなってしまった恋人の中では、私の存在って永遠であり続けるのかなーって思うんだよね」
「私も永遠なんて言葉信じてないし、存在しないとも思ってるよ。ただ、こういう時は永遠っていえるのかなって思うんだけど、どう思う？」
彼女からのそんな言葉を聞いた時、シンプルに面白い考えを持つ人だなと感じた。お酒が回っていたというのもあり話の内容は半分くらい理解できていない所もあったが、確かにそんな考えもできるなと感じた記憶と、この子とこれからは仲良くしていけたらいいなと思った記憶はある。今までそんなに永遠だの詳しく考えたことなかったし、永遠なんて存在しないだろうと思っていたが、彼女の話を聞いて少し考えが変わった気がする。
彼女の話の通り、確かに、最後に思い出す存在が自分だったら。
その人の中での俺は、永遠であり続けるんだろうな。
そしてその人が、自分にとってとても特別で大切にしたいと思える人なら、どれだけ幸せな事だろうか。
……そんな事を考えながら、彼女と仲良くなるきっかけとは言っても過言ではない会話をぼんやりと思い出していれば、「高比良！」と俺の名前を呼ぶ声がする。
「私の話聞いてた？」
「え？あー、うん。聞いてた聞いてた」
「ぜーったい嘘！聞いてなかったでしょ！」
そう言いながらあの日みたいにまたグラスに残っているお酒を一気に飲む目の前の彼女。あの頃はただ、面白い考えを持つ人だなという認識しかなかったのに。仲良くしていく内に彼女の色々な面を知り、まさか好きになってしまうなんて。そんな展開、誰が想像できただろうか。
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作者名：やぴ | 作成日時：2023年5月14日 1時
