答え合わせ ページ11
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「新山って、彼女作らんの？」
目の前の彼女からのそんな質問に、思わず目をぱちくりさせてしまう。そしてそれと同時に、頭を抱えたくなってしまった。別に、ぶっちゃけた話彼女を作ろうと思えば作れるのだ。告白だって、まあ、人並みにはされてる訳ですし。じゃあ何で作らないの？と聞かれると、答えはもう1つである。
目の前の彼女こと、AAが好きだからである。
……ここで、お前が好きやからやでなんて口説き文句の1つでも言えたらいいのだろうが、生憎俺にはそんな度胸は持ち合わせていないもので。人は、本気で好きになった相手には臆病になってしまうらしい。今までこんな気持ちになった事なんてなかったのに、人は本当に不思議なものである。
「新山って、モテるやん」
「あー……、そうか？」
「え、うん。モテるっていうか、何やろ。よく沼！って言われてない？」
知らん、知らん！そんなん他の女の人に言われてても言い方は悪いが全く興味が無い。てかなんやねん、沼って。好きな女に言われるなら嬉しいというか、あれだが、興味無い奴らに言われてもそうですかとしか言えない。てか何なら沼られても困るほどである。それでこいつに変な勘違いをされてもあれやし。
…てか、俺、結構こいつにアプローチしてると思うんやけどなー。なんてぼんやりと考える。まあ直接好きとか可愛いと言ったり、そういうものはできていないが、なんて言うんだ？遠回しというか。よくあるベタな、こいつにだけご飯誘ったり2人で出かけたりとか。そろそろ気付いてくれてもいいと思うんやけどな、と思いつつも、まあちゃんと想いを伝えてないんやから気付かれてないのも仕方ないか、とも思う。
ただ、流石に好きな人に「彼女作らんの？」と聞かれるのは、なんていうか、心にくるものがある訳でして。ああ、彼女から見た俺ってまじで脈ナシやったんか！という気持ちに襲われる。こんな事でうじうじと悩むくらいなら俺が行動すればいいだけというのも頭の中ではわかっているのに、この関係が壊れるのは少し怖い訳で。
ええ歳して格好悪いな、なんて思いながらもう一本、煙草に火をつけた。
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作者名：やぴ | 作成日時：2023年5月14日 1時
