親友として ページ42
屋上に向かってひたすら走る。
階段を駆け上がり、扉を開けた。
屋上の中央に、義勝とGENが向かい合って立っていた。
「……拓也!ライブは?」
GENが振り返り、俺に気付いた。
「大丈夫。俺らトリになったから」
「そうか……って、ええ!?」
GENは大声を上げて驚く。
「それより、KOUHEIとAは?」
「二人なら学校にいないよ」
義勝が口を開く。
「もう分かっただろ、GEN?お前は、水沢が虐められてた時からKOUHEIに利用されてたんだよ」
「でも、お前ならKOUHEIを止めれた筈やろ。何であいつに従ったんや」
義勝は急に言葉を詰まらせる。
「……ずっと友達でいたかったから」
俯きながらそう呟く義勝の言葉は、少し震えていた。
「あいつは同じ中学で、唯一の親友なんだ。ずっと側にいたかったから、あいつを裏切るような事はしたくなかった……」
「義勝、お前もしかして……」
「俺だってしたくなかったよ!KOUHEIはLINEで水沢の様子を教えて欲しいしか言わなかったから、こんな事になるとは思わなかったんだよ!」
俺は義勝に歩み寄る。
「だからLINE送ってくれたんやな?俺にKOUHEIの計画を知らせる為に」
無言で義勝は頷く。
「Aは絶対連れて帰る。Aは俺の彼女やからな」
「GENは義勝と一緒に音楽室に戻ってくれ」
「ああ。Aをよろしくな」
GENは俺に手を差し出し、俺は握手を交わした。
「拓也、これ持ってけよ」
義勝が渡したメモには地図が書いてあった。
「丸で囲ってる所に二人がいる」
「ここって……」
「KOUHEIに拓也が行かなそうな場所を教えろって言われて、俺が考えた場所だよ」
丸で囲ってあったのは、学校に近くにある公園だった。
確かに、俺があまり行かへん場所や。
「義勝、ありがとう」
屋上を出て、再び走りだす。
待っててな、お人形さん。
「洋平も粋な事するよね」
「……別に」
ヒロはまたまた〜と俺をからかう。
「一学期に助けて貰った借りを返しただけだ」
ヒロに書き直したセットリストの紙を渡す。
「白井とサトヤスに渡せ」
「……はいはい、そんなに睨まないでよ」
すると、廊下を駆け抜ける山中拓也の姿が見えた。
「あれ?屋上にいなかったのかな?」
「みたいだな」
初めて会った時から只者じゃないと思ってたけど、本当に面白い奴だな。
まだまだ楽しめそうだ。
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神吉ひなの(プロフ) - ほんとに更新お願いします。いいところで止まってしまっているので、、 (2017年8月28日 14時) (レス) id: 8d3e88b876 (このIDを非表示/違反報告)
ふわり(プロフ) - きたの赤身さん» いえいえ!こちらこそすごく楽しませてもらってます!作者さんの文才に感心しっぱなしです!!笑これからも応援してます!!(*´∇`*) (2017年3月5日 12時) (レス) id: bbf1916b32 (このIDを非表示/違反報告)
きたの赤身(プロフ) - ふわりさん» コメントありがとうございました!凄い励まされたので更新頑張ります! (2017年3月5日 2時) (レス) id: 5637995c07 (このIDを非表示/違反報告)
ふわり(プロフ) - コメント失礼します!とっても面白いです!物語の世界に引き込まれました!!是非更新していただけると嬉しいです! (2017年3月2日 20時) (レス) id: bbf1916b32 (このIDを非表示/違反報告)
きたの赤身(プロフ) - 月苺さん» ありがとうございます!KOUHEIさんをブラックキャラにしていいのかと思いながら書いていたので(笑)、気に入って頂けてるなんて嬉しいです!更新頑張ります!! (2016年12月16日 15時) (レス) id: 5637995c07 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:きたの赤身 | 作成日時:2016年11月8日 3時