君と僕だけの時間 2

執事とメイド ページ33

周りが凄い見てる……。
メイドと執事が歩いてたら、そりゃ見るよね。
しかも手繋いでるし。
「腹減ったなあ」
きっと、お客さんの相手していてご飯食べる時間も無かったんだろうな。
「なあ、ご飯食べたい」
『私、さっき食べたんだけど……』
「たこ焼きだけやろ？」
『そうだけど……』
「ご主人の命令やで？」
『でも……』
「…………」
そんな悲しい顔で見つめられると断れないじゃない……。
『じゃあ、どこ行く？』
「……俺、あれ食べたい！」
『ちょっと、走らないで！』



食べたい物を見つける度に、拓也君は私の手をを引っ張って連れ回す。
まるで、無邪気な子供のように。
初めて見る拓也君の顔に、少しドキドキした。
これが、拓也君の本当の姿なのか。






『……何で屋上の扉が開いてるの』
文化祭中は、屋上は使用禁止の筈だ。
「セイヤが開けてくれた」
恐るべし、生徒会の力。
もしかして、最初からここに来るのが目的だったの？
「んー！美味いなあ」
拓也君は床に座り、焼きそばを食べ始めた。
「それも食べたい」
私が右手に持っている焼き鳥を見る。
渡したいけど、拓也君の両手は焼きそばと箸で塞がっていた。
「……分かるよな？」
拓也君がニヤリと笑った。
『ま、まさか……』
「ちゃんと食べさせてな、……メイドさん？」
私は拓也君の隣に座り、焼き鳥を拓也君の口に運ぶ。
『はい、あーん……』
「……ん」
拓也君の色っぽい声が微かに聞こえた。
おそらくわざとだろう。
そんなの気にせず焼き鳥を堪能してるけど。
『これからライブあるのに、こんなにのんびりしてていいの？』
「大丈夫。俺ら一年のトリやし」
文化祭のライブは一年生から始まり、一番手はKEYTALKで、二番手はしげ君のクラスのKANA-BOON、最後はオーラルとなっている。
「今日はそんな格好してるから、めっちゃ心配やねん。GENやKOUHEIの事もあるし」
『……ありがとう。心配してくれて』
「だから、もうちょっと独り占めさせてな、お人形さん？」
『……その前にメイドなのか人形なのか、統一してよ』
拓也君は笑って誤魔化した。









拓也がAを連れてどこかに行ってしまった後、俺は校舎を出てRYU-TAたちと合流した。
「GEN、おかえりー」
玄関を出ると、屋台で買った食べ物を持ったRYU-TAとHIROKAZがいた。
「……KOUHEIは？」
「中学の同級生に会うって一人で校舎の中入っていったよ」
しまった……！
この展開だけは避けたいと思ってたのに。



てゆうか、同級生って誰だ？

黒縁眼鏡と無愛想執事→←30分

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