フラれてない ページ4
「……はあ」
日曜日。ライブハウスの楽屋の片隅で、俺は溜息ばかりついていた。
「GEN、大丈夫か？」
「……Aをライブに誘ったのに、断られた」
「え、水沢に会ったの？」
俺の言葉を聞いて、バンドのメンバーが集まってきた。
「俺、今日ライブ無理かも」
「何言ってんだよ！俺らトップバッターだぞ！？」
「用事あるって言われたんだぞ〜。絶対俺の事避けてるよ〜。立ち直れねえよ〜」
あの日からショックで授業も集中出来ないし、ベースもミスするし、歌詞も間違えるし、何もかも上手くいかない。
「あんな事があった後なんだから、避けてるに決まってるだろ？」
「ヒ、ヒロカズ！お前！！」
「相変わらず仲ええな、フォーリミ」
「あ、拓也」
THE ORAL CIGARETTESのボーカルの拓也がこちらに近づいてきた。
「何をそんなに揉めてんの？」
「GENが好きな子にフラれたからライブ出ないって言うんだよ」
「フラれてない！！」
「へ〜、そうなんや〜」
拓也がニヤニヤしながらこちらを見ている。
「GENはワガママやな〜」
「やめろ！」
そして笑われながら頭をぐしゃぐしゃにされた。
オーラルは仲良いバンドの一つだけど、今日だけは嫌いになりそうだ。
拓也はいいよな。
スタイルも性格も良くて、歌も色っぽくて演奏もかっこいいし。
だからバンドも負けたくないって思うんだけど。
でも、あんなに裏表なくて優しいなら絶対モテるだろうな。
「拓也、A来たで」
「ほんまに？」
「もうあきらが話してる」
「マジか」
拓也が急いで楽屋を出た。
俺たちはそれよりも、しげが言っていた言葉が気になった。
「今、しげのやつ何て言ってた？」
「Aって、水沢の事か？」
「同じ名前なだけで、別人じゃね？」
「……そうでもなさそうだぞ」
コウヘイが楽屋の扉の隙間からフロアを覗きながら呟いていた。
俺たちも慌てて隙間からフロアが覗いた。
「……マジか」
見えたのは、大好きなあの子がオーラルのメンバーと話している姿だった。
かなり打ち解けて話してるようだ。
特に拓也と。
「そういえば、拓也に好きな子いるってまさやん言ってたな」
「え……」
だからあんなに距離が近いのか？
いや、もう拓也のやつ寄り添ってるじゃん！
あのまま手を繋いだらどうしよう。
「……もう耐えられない」
「あ、GEN！」
俺は思い切りドアを開けた。
Aに、気づいて欲しかったから。
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神吉ひなの(プロフ) - ほんとに更新お願いします。いいところで止まってしまっているので、、 (2017年8月28日 14時) (
レス) id: 8d3e88b876 (このIDを非表示/違反報告)
ふわり(プロフ) - きたの赤身さん» いえいえ！こちらこそすごく楽しませてもらってます！作者さんの文才に感心しっぱなしです！！笑これからも応援してます！！(*´∇｀*) (2017年3月5日 12時) (レス) id: bbf1916b32 (このIDを非表示/違反報告)
きたの赤身(プロフ) - ふわりさん» コメントありがとうございました！凄い励まされたので更新頑張ります！ (2017年3月5日 2時) (レス) id: 5637995c07 (このIDを非表示/違反報告)
ふわり(プロフ) - コメント失礼します！とっても面白いです！物語の世界に引き込まれました！！是非更新していただけると嬉しいです！ (2017年3月2日 20時) (レス) id: bbf1916b32 (このIDを非表示/違反報告)
きたの赤身(プロフ) - 月苺さん» ありがとうございます！KOUHEIさんをブラックキャラにしていいのかと思いながら書いていたので(笑)、気に入って頂けてるなんて嬉しいです！更新頑張ります！！ (2016年12月16日 15時) (レス) id: 5637995c07 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：きたの赤身 | 作成日時：2016年11月8日 3時
