君と僕だけの時間 2

文化祭の準備 ページ3

「水沢さん」
拓也君は、学校に着くと私を名字で呼ぶ。
「今日は一緒に帰れる？」
『ごめん。今日も無理』
「仕方ないな。でも楽しみにしてるで、文化祭」
文化祭の準備をしなければならないので、最近は拓也君と一緒に帰れていない。
でも、本当は文化祭なんて参加したくない。
なぜなら……、


「A！」
走って私の席にやってきたのは、あきら君の幼なじみの麻衣ちゃん。
「放課後に打ち合わせするから！もう逃げられないよ！」
『麻衣ちゃん、やっぱりメイドカフェなんてやりたくないよ……』
「大丈夫だよ！私に良い考えあるから！放課後教室に残ってね！」


私のクラスでは、激論の末メイドカフェをする事になり
「水沢さんはマストで！」
というあきら君の言葉で私も参加する事になりました。
拓也君は最初嫌そうな顔をしてたけど、
「早く見たいなあ、水沢さんのメイド姿」
今は何か企んでる顔をしている。








疲れすぎて、ため息が出る。
打ち合わせが長引いて帰るのが遅くなった。
ケータイを開くと拓也君から何通もLINEが届いていた。
それを見ながら家のドアを開けようとした時、


「……おい」


後ろを振り返ると、私の幼なじみの姿が。
「ひ、久しぶりだな……」
『そ、そうだね……』
私が転校してからまともな会話もしていないので、お互いぎこちない。
「いつも、こんな時間に帰ってくんの？」
『今日は用事があったから』
「そうか……。あ、あのさ！」
急に声が大きくなったからビックリした。
にしても、相変わらず高くて通る声だ。
「俺、今バンドやってて今度ライブあるんだ。良かったら、見に来ないか？」
『……いつ？』
「日曜日。昼からなんだけど」
『その日は、用事があって行けない』
その日はオーラルのライブがある。
「……分かった。また誘うな」
彼は自分の家に帰って行った。

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