二人きりになる？ ページ13
「俺、寺田さんが描く絵が好きで、いつも図書室で見せて貰ってたんだよ」
『そうだったんですか』
でも、あんなに隠れてこそこそ見る必要があるのだろうか？
「誤解させてごめんね。寺田さんに用があったんでしょ？」
『はい。文化祭の事で……』
「私も、水沢さんに話したい事があったの」
寺田さんはスケッチブックを開いて私に見せた。
描かれていたのは、ワンピース風のドレスと黒の燕尾服だった。
「これ、水沢さんの衣装。こっちは山中君の衣装だよ」
『へえ……』
「……ちゃんと描いてるじゃん」
川上先輩が呟くように言った。
私が川上先輩の方に顔を向けると、何もなかったかのように微笑んだ。
「山中君って、THE ORAL CIGARETTESの山中君だよね？水沢さん仲いいの？」
『……隣の席なんです』
「よかったら、彼にライブの応募用紙を生徒会室に取りに来るように伝えてくれる？」
『分かりました』
「先輩、もうすぐ昼休みも終わるので教室に戻ります」
寺田さんは先に図書室を出てしまった。
「……逃げなくてもいいのにな」
図書室を出る寺田さんを見つめながら、川上先輩は溜息混じりに言う。
『あの、私も失礼します』
「……ああ、もう時間か。また会おうね、水沢さん」
川上先輩は私に笑顔で手を振った。
図書室で出て教室に向かおうとしていると、
『……拓也君』
いるはずがない拓也君が目の前に立っていた。
『どうしたの？』
「森田さんに聞いたら、寺田さんに会いに図書室行ったって……」
『うん。……あっ』
拓也君は私を抱き締める。
「寺田さん、いつも生徒会長と一緒におるから、Aも何かされてへんかなって心配した」
『そうなの？』
「あの会長、裏では王様みたいらしいからな。2年の先輩が『腹黒大王』って言うてた」
何その怖いニックネーム……。
『それよりもここ廊下だよ？早く教室に戻らないと、授業始まっちゃう』
「嫌や。戻りたくない」
『人が通るかもしれないし、恥ずかしいよ』
学校ではこんな事しないのに、拓也君どうしたんだろう。
「じゃあ、これから二人きりになる？」
…………え？
拓也君は私から離れ、手を握る。
『どこ行くの！？』
「屋上。Aと二人きりになりたいから」
少し早足で歩きながら屋上に向かう。
「最近、お人形さんが反抗期みたいやから、ちゃんとしつけないとあかんなあ」
何よ反抗期って……！
屋上で二人きりって、絶対危ないよ。
こんな時、ふとGENの顔が浮かんでしまった。
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神吉ひなの(プロフ) - ほんとに更新お願いします。いいところで止まってしまっているので、、 (2017年8月28日 14時) (
レス) id: 8d3e88b876 (このIDを非表示/違反報告)
ふわり(プロフ) - きたの赤身さん» いえいえ！こちらこそすごく楽しませてもらってます！作者さんの文才に感心しっぱなしです！！笑これからも応援してます！！(*´∇｀*) (2017年3月5日 12時) (レス) id: bbf1916b32 (このIDを非表示/違反報告)
きたの赤身(プロフ) - ふわりさん» コメントありがとうございました！凄い励まされたので更新頑張ります！ (2017年3月5日 2時) (レス) id: 5637995c07 (このIDを非表示/違反報告)
ふわり(プロフ) - コメント失礼します！とっても面白いです！物語の世界に引き込まれました！！是非更新していただけると嬉しいです！ (2017年3月2日 20時) (レス) id: bbf1916b32 (このIDを非表示/違反報告)
きたの赤身(プロフ) - 月苺さん» ありがとうございます！KOUHEIさんをブラックキャラにしていいのかと思いながら書いていたので(笑)、気に入って頂けてるなんて嬉しいです！更新頑張ります！！ (2016年12月16日 15時) (レス) id: 5637995c07 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：きたの赤身 | 作成日時：2016年11月8日 3時
