君と僕だけの時間 (ページ15)

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その14 二人乗りページ15

いつもの駅に降りると、山中君が待っていた。
「おはよう、A」
今日は自転車に乗っていた。
ほら、やっぱりパンクなんかしてなかったじゃん……。
「A、後ろ乗って」
『え？』
「ええから、乗れ」
強引に腕を引っ張られ、自転車に乗せられた。
「しっかり捕まっててな」
山中君は自転車を漕ぎ始めた。
二人乗りなんて初めてだ。
周りの目が気になる。
恥ずかしい……。
しかも無言だし。
いつもなら、話しかけてくるのに。
また何か考えてるのかな？

「ここで降りて」
山中君の言う通り、自転車を降りる。
「学校も近くなってきたからな。あきらたちも来るやろうし、ここからは歩いて行こう」
『うん』
二人乗りから解放されて気持ちが楽になった。
でも、何故か切ない気持ちにもなる。

「A発見！」
聞き慣れた、明るく元気な声。
振り替えると、自転車に乗った村上君だ。
横には、こちらも自転車に乗った女の子がいた。
「拓也！自転車治ったんやな！！」
「うん」
「水沢さん、私の事分かる？」
山中君と村上君が話してる中、村上君の横にいた女の子が私に話しかけてきた。
確か、同じクラスの子だよね……？
『えっと……』
「俺の幼なじみの森田麻衣やで」
「って、なんであきらが紹介してんのよ！自己紹介ぐらいさせてよね！」
「えーやんか、別にー」

拓也の奴、またAを駅で待ってたんかな？
自転車があるって事は、まさか……。
二人乗り、したんかな？
Aの顔、今日も元気なさそうやし。
Aの悲しい顔は見たくない。

拓也、お前が何考えてるか知らんけど、
お前の企みは、俺が阻止してみせる。