鬼札【鬼滅の刃】 弐

玖拾 ページ48

時透無一郎side

お館様の仰った通りだ。


“確固たる自分”があれば両の足を力一杯踏ん張れる。


自分が何者かが分かれば、


迷いも、


戸惑いも、


焦燥も、


消え失せ


振り下ろされる刃から逃れられる鬼はいない。


あの、煮え滾る怒りを思い出せ＿＿＿。


脳裏に最愛の兄の、蛆が湧いて腐っていく姿がよぎる。


そのとき手をつないでいたから自分の体にも蛆が湧き始め、死の淵を見た。


運良く助けられなければそのまま死んでいただろう。


＿＿＿記憶を失っても体が覚えている。



死ぬまで消えない怒りだ。


だから僕は血反吐を吐く程自分を鍛え上げて叩き上げたんだ。


鬼(勿論Aさんは例外)を滅ぼすために


奴らを根絶やしにするために!!


玉壺「私の華麗なる本気を見るが良い！！」


【血鬼術 陣殺魚鱗】


玉壺「さあどうかね、私のこの理に反した動き。


鱗によって自由自在だ。


予測は不可能。


私は自然の理に反するのが大好きなのだ！」


玉壺「さて、お前をどのように料理してやろうか？」


奴は僕の背後に回り込んで決着を付けようとしていた。


だから、僕は技を仕掛けた。


Aさんによって洗練された技を＿＿＿。


【霞の呼吸 漆ノ型 朧】


時透無一郎side end

玖拾壱→←捌拾玖

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す