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どろろが青年に突然渡したものだから、青年はビクッと体を跳ねらせた。
貴「こら、どろろ。そうやって急に渡しては驚くだけだよ。____それに彼は目が見えないから尚更だよ。」
青年は焼き魚を手に取って形を認識して食べ始めた。
どろろ「それにしても、こうやってみると本当に見えないんだな・・・。」
貴「そりゃあ、義眼を付ける人はよっぽどのことがない限り盲目の奴ばかりだ。」
どろろ「そういえば姉貴はこいつと同行なのか?」
貴「まさか。ただ単純に彼に興味を持っただけさ。それ以上でもそれ以下でもない。」
どろろ「____耳も聞こえず口も利かない、か。ホントに不思議な奴だな。」
貴「当然だ。耳が聞こえないなら音を知らない。故に声という存在自体を知らない。我々の知らない世界だよ。」
どろろ「ふぅ〜ん。____なぁ、その腕金にしねぇか?おいらに任せりゃ絶対稼げる。御大臣だって夢じゃねぇ!」
貴「私は却下だ。金のために商売しているわけではない。____彼に聞き給え。」
どろろ「いや、こいつ声が聞こえないじゃないか!____じゃあどうしておいらを連れてきたんだ?」
貴「君がついてきただけじゃないか。それに____。」
どろろ「それに?」
貴「いや、なんでもない。それより明日もある。早く寝ようじゃないか。」
どろろ「・・・。」
金は身を滅ぼす___なんて言っても分からないだろうな。
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作者名:ビニビニ | 作成日時:2019年4月23日 19時