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「何が言いたいの?」
思わず問うてしまう。
だが、そうして求めた結論はひどく優しいものであった。
『この国に来る途中で出会った人もいい人ばっかりで、…民って王を見て育つって聞いたことがあって。だから、こんな良い国の王様である貴方が悪い人なわけないな、と思って。…えっと、だから私に出来ることなら協力したいなって』
胸を撃ち抜かれる様な感覚がした。まるでギラの様な雰囲気を携えた子ではあるけど、ギラの様な野心は持っていない一般市民。のはずなのに、なぜ心が惹かれてしまうのだろうか。
「あら、口が上手いのね。お世辞でも嬉しいから受け取っておくわ」
『はい是非。綺麗に包んでおきますね』
「ふふっ、お世辞の否定はしないのね」
『嬉しいと思ってくれたならそれで良いです』
そう言ってラッピングの動作をジェスチャーで真似するAを見て急いで口元をハンカチで覆う。コミカルな動きを見せる姿がツボに入る。
「貴方、面白いのね。気に入ったわ」
仲良くなりたい、そう思った。
『ありがとうございます?えーっと』
「ヒメノ・ラン。ヒメノって呼んで」
「分かりました。じゃあ、ヒメノ…これからよろしくお願いします」
まだどこか壁があるようにも思えるが、それも時と共に消えていくだろう。私は欲しいものなら何でも手に入れる。こんなに可愛い友人が出来たのだから手放す術はないわ。
「あと敬語も禁止」
レースを纏った手でAの顎を救う。りんごの様に真っ赤になった顔が可愛くて仕方ない。リタもきっとこの子を気にいるはず、セバスに声を掛け急いでかわいいもの好きな友人を呼ぶ様に手配した。
「もっと話したい所ではあるけど…」
『はい?』
「一回ギラとシュゴッダムに向かってちょうだい」
『分かった。けど、何で?』
「貴方の体質のことよ、検査してもシュゴットと話せる理由は分からなかったから。それを調べてくる必要がある」
だからまた後でね。
名残惜しいがAをギラに引き渡す。
待ってましたと言わんばかりにギラがこちらの方。更に言うならばAの方へと走ってくる。本当兄弟揃って兄バカなのね…、てことはラクレスもああなるのかしら。
私のお気に入りにデレデレとした表情を向けるラクレスを想像して背筋がゾッと粟立つ。
「気持ち悪っ」
『へ?』
「どうしたんだヒメノ?」
「いえ、なんにも。貴方達には関係ないわ」
まあちょっとあるけど。
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さもえど(プロフ) - *桜もち。さん» コメントありがとうございます😭こちらこそ素敵なイベントに参加させていただいて光栄です!あと、すごく楽しいです!作品の感想もありがとうございます!!! (12月22日 16時) (レス) id: c71a97a44f (このIDを非表示/違反報告)
*桜もち。(プロフ) - イベント参加ありがとうございます💖トリップ系あまり読まないですが、とても面白いです✨ゲロウジームを可愛く思ったりリタ様の趣味に気付いたりする夢主ちゃんが愛おしいです…!続き楽しみにしてます! (12月21日 19時) (レス) @page18 id: 17da285f26 (このIDを非表示/違反報告)
さもえど(プロフ) - 桜姫さん» 桜姫様、リクエストお受けしました!ラクレス様素敵ですよね、是非書かせていただきます!それと、いつも作品見てくださってありがとうございます。 (12月7日 23時) (レス) id: c71a97a44f (このIDを非表示/違反報告)
桜姫(プロフ) - いつも読ませて頂いてます❗️クリスマス番外編のでラクレスとかは大丈夫でしょうか? (12月7日 13時) (レス) @page13 id: 533f7f5ed0 (このIDを非表示/違反報告)
さもえど(プロフ) - しおりさん» ありがとうございます、励みになります☺️ (11月20日 0時) (レス) id: c71a97a44f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さもえど | 作成日時:2023年11月19日 1時