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「血圧も心拍数も正常値、脳波もスキャンしたけど異常なし。」
ふうと一息つき、膝の上に置いたデバイスに情報を打ち込む。健康そのものね。
ちょっと拍子抜けだけど、体調不良が見られないだけで十分。
『良かったです』
「そうね、でも不思議だわ。貴方は一体どうやってここに来たのかしら」
『それが…』
話をまとめると、街を歩いていたらいきなり謎のワープホールに落ちてしまい気づいたらこの世界に居た。といった所。
なるほど、以前私たちが経験したものと同じ様子ね。そうなると浮かんでくるのはあの宇蟲王…。
「…ダグデドの仕業かしら、」
『ダ、ダグデド…?』
「ああ。貴方は気にしなくて良いわ、私たちが対処する問題だから」
「…分かりました。診断ありがとうございます」
そう言って、Aがぺこりと頭を下げる。診察は終了した。でもイシャバーナの国王兼最高の医者として湧き起こる好奇心を抑えることができなかった。
「ちょっと待って頂戴」
部屋から出て行こうとするAを呼び止める。
『な、なんですか?』
「貴方が良ければ、なのだけど…。もしよかったら貴方の血液やDNAのサンプルを取っておきたいの」
『は、はい…?』
もちろん悪用はしないし、あくまで医療用にしか使わない、次にAと同じような目に遭った人の為だということも忘れず伝える。
まあ、断るだろう。右も左も分からないような場所でいきなりこんな申し出を受けたら普通は混乱する。
『あぁ、そう言う事でしたらかまいませんよ。』
意外。断らないのね。
自分の思い通りにいったものの、こんなにあっさり承諾されたらそれはそれで納得し難いので改めて確認する。
「貴方、協力的なのは良いことだけど。…もし私が取ったサンプルを悪用するような悪人である可能性を考えないの?」
『お姫様が悪人…ですか、うーん…想像つかない。ていうか!この国の人達って口を揃えて貴方のことを褒めるんですね』
Aが少しのシンキングタイムを挟んだあとに顔を上げた。
Aはその引っ張られてしまいそうな引力を持つ黒い瞳を、まっすぐとこちらに向けたままトンチンカンなことを言い出した。
なぜ今、急に民の話を?
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さもえど(プロフ) - *桜もち。さん» コメントありがとうございます😭こちらこそ素敵なイベントに参加させていただいて光栄です!あと、すごく楽しいです!作品の感想もありがとうございます!!! (12月22日 16時) (レス) id: c71a97a44f (このIDを非表示/違反報告)
*桜もち。(プロフ) - イベント参加ありがとうございます💖トリップ系あまり読まないですが、とても面白いです✨ゲロウジームを可愛く思ったりリタ様の趣味に気付いたりする夢主ちゃんが愛おしいです…!続き楽しみにしてます! (12月21日 19時) (レス) @page18 id: 17da285f26 (このIDを非表示/違反報告)
さもえど(プロフ) - 桜姫さん» 桜姫様、リクエストお受けしました!ラクレス様素敵ですよね、是非書かせていただきます!それと、いつも作品見てくださってありがとうございます。 (12月7日 23時) (レス) id: c71a97a44f (このIDを非表示/違反報告)
桜姫(プロフ) - いつも読ませて頂いてます❗️クリスマス番外編のでラクレスとかは大丈夫でしょうか? (12月7日 13時) (レス) @page13 id: 533f7f5ed0 (このIDを非表示/違反報告)
さもえど(プロフ) - しおりさん» ありがとうございます、励みになります☺️ (11月20日 0時) (レス) id: c71a97a44f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さもえど | 作成日時:2023年11月19日 1時