イシャバーナへの道のり ページ5
『…』
目の前で四つ足立てて鎮座している昆虫ロボットを見上げる。ギラはちょっと変わった移動方法と言っていたが、もしかしてこのロボットに搭乗するのだろうか、色々考えるけど答えがわからない。
『あ、』
目があった、緑色の瞳がきらりとこちらを見る。…これから乗せてもらうわけだし、一応ご挨拶しとくか。
ぺこりと頭を下げる。
「A、そんなに畏まらなくてもいいよ。そうだよね、クワゴン…ん?Aも別の世界から来たの?って、うん、前の僕たちと同じ」
クワゴンの問いに答えるギラの声、と。
『は、はい。なんか変な穴を踏んだらここにきちゃって』
私の返答が重なった。
「え、」
大きく目を見開いたギラと視線がぶつかる。ぎぎ、と言う金属が擦れる音が上から降ってきた。クワゴンがこちらに顔を向けている。
『え、っと…なに?』
「今クワゴンに返事したの?」
『したけど、だって話しかけられたし』
もしかして話しかけられても無視しなきゃいけないとかいう決まりでもあったりするのか。でも、ギラは普通にクワゴンと話してたし…。
怖い、そう思いながらおそるおそるギラの方を見る。
「…、すごいよクワゴン!僕以外でシュゴットと話せる人初めてみた!」
『へ、…?』
すごいね、と私そっちのけで喜び合っているギラとクワゴンを見る。この感じだとクワゴンの種族と話すことのできる人は滅多に存在しないってこと?そして、話すことのできる私は特殊な人間である…かも。もしこれが正しいのだとすれば、私のこの異世界生活がより物語じみたものになってくる様な気がしてきた。
「あ、ごめん。Aのこと置いてけぼりにしちゃって…」
『ううん、大丈夫。それよりその、クワゴンと話すことのできる人ってあんまりいないの?』
「あんまりどころか!僕以外で見たことないよ」
当たりだ。
クワゴンの方へと目をやる、つぶらな瞳がこちらを見ている。あー、意外と可愛いかもしれない。
改めてよろしくと声をかけるとそれに対応する様にクワゴンが顎をガシャガシャと噛み合わせ音を立てる。
「じゃあ行こうか、ほら乗って」
少し離れたところから差し伸べられてきた手を握りクワゴンの中に乗り込む。
……
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さもえど(プロフ) - *桜もち。さん» コメントありがとうございます😭こちらこそ素敵なイベントに参加させていただいて光栄です!あと、すごく楽しいです!作品の感想もありがとうございます!!! (12月22日 16時) (レス) id: c71a97a44f (このIDを非表示/違反報告)
*桜もち。(プロフ) - イベント参加ありがとうございます💖トリップ系あまり読まないですが、とても面白いです✨ゲロウジームを可愛く思ったりリタ様の趣味に気付いたりする夢主ちゃんが愛おしいです…!続き楽しみにしてます! (12月21日 19時) (レス) @page18 id: 17da285f26 (このIDを非表示/違反報告)
さもえど(プロフ) - 桜姫さん» 桜姫様、リクエストお受けしました!ラクレス様素敵ですよね、是非書かせていただきます!それと、いつも作品見てくださってありがとうございます。 (12月7日 23時) (レス) id: c71a97a44f (このIDを非表示/違反報告)
桜姫(プロフ) - いつも読ませて頂いてます❗️クリスマス番外編のでラクレスとかは大丈夫でしょうか? (12月7日 13時) (レス) @page13 id: 533f7f5ed0 (このIDを非表示/違反報告)
さもえど(プロフ) - しおりさん» ありがとうございます、励みになります☺️ (11月20日 0時) (レス) id: c71a97a44f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さもえど | 作成日時:2023年11月19日 1時