番外編6ジェラミー・ブラシエリ ページ24
「これなんてどうだろうか、互いに想い合う二人がクリスマスに月を盗もうとする話」
『なにそれ、面白いけどなんで月?』
「さあね。物語を進めて行間を読むしかないようだ」
『出た、行間オタク』
なんて言いながら本棚に並ぶ様々な本を物色する。パチパチと火花を散らす暖炉はオレンジ色の炎を灯し部屋を暖めている。
「お前さんは本当に良かったのかい?俺なんかとクリスマスを過ごして」
『俺なんか、とか言わないでよ。ジェラミーが良かったの』
『そりゃあ嬉しいね。昔のお前さんじゃ到底想像もつかないようなセリフだ』
『う、…ジェラミーのこと苦手だった時の話しないでよ』
確かに昔はこんな美形がいい人間な訳がないと思い込んで距離をとって接していたけど。今は違ってすっかり仲良くなってるわけだし…。
「なんて言っていたかな?えーっと浮気魔?それとも、虚言癖?…どれも酷いものばかりだ」
『そっそれは、全部元カレ達の話で!ジェラミーがそんなんじゃなくていい人なの分かってるから!』
「お前さん。えらく素直だな」
完全にのせられた。ジェラミーの掌の上で転がされている、今日はこのままいじられるルートだ。
「さて、お前さんを可愛がるのも程々にしておくか」
『あれ?』
思ったよりあっさり終わった。
「今日は一緒に本を読むんだろ?俺のとっておきを呼んであげるよ」
手招きされ暖炉の前でジェラミーの隣に座る。
「ある所に、とても深い愛で結ばれた男と女がいました」
綺麗な声で音読が始まる。私はこの声が好きだから、子供っぽいけどたまにジェラミーに本を読んでもらっている。
「男は女にこう言いました」
ペラリと、ページが捲られる。
「"俺は、お前以外を愛せない"」
…今日の話はやけに情熱的だな。ジェラミーの読み聞かせにも力が入っている。
「"お前があの月を欲しいと言ったら、俺はあの月を盗む"」
視線を上げたジェラミーと目が合う。
「"お前さんからの愛で俺は生きていける"」
『ジェラミー…そこ、お前さんじゃなくてお前だよ』
「おっと、俺としたことが読み間違いとは」
なんかドキドキするな。いつもはそんなことないのに。
「"愛しているよ、他の何よりも"…、お前さんはこんなことを言われてみたいとは思うのか?」
『ちょっと恥ずかしいけど、憧れはするかな』
「そうか、…なら」
ジェラミーの手が私を押し倒す。
「どんな愛の言葉を吐いて欲しい?せっかくのクリスマスだ、いやって言うほど言ってやるよ」
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さもえど(プロフ) - *桜もち。さん» コメントありがとうございます😭こちらこそ素敵なイベントに参加させていただいて光栄です!あと、すごく楽しいです!作品の感想もありがとうございます!!! (12月22日 16時) (レス) id: c71a97a44f (このIDを非表示/違反報告)
*桜もち。(プロフ) - イベント参加ありがとうございます💖トリップ系あまり読まないですが、とても面白いです✨ゲロウジームを可愛く思ったりリタ様の趣味に気付いたりする夢主ちゃんが愛おしいです…!続き楽しみにしてます! (12月21日 19時) (レス) @page18 id: 17da285f26 (このIDを非表示/違反報告)
さもえど(プロフ) - 桜姫さん» 桜姫様、リクエストお受けしました!ラクレス様素敵ですよね、是非書かせていただきます!それと、いつも作品見てくださってありがとうございます。 (12月7日 23時) (レス) id: c71a97a44f (このIDを非表示/違反報告)
桜姫(プロフ) - いつも読ませて頂いてます❗️クリスマス番外編のでラクレスとかは大丈夫でしょうか? (12月7日 13時) (レス) @page13 id: 533f7f5ed0 (このIDを非表示/違反報告)
さもえど(プロフ) - しおりさん» ありがとうございます、励みになります☺️ (11月20日 0時) (レス) id: c71a97a44f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さもえど | 作成日時:2023年11月19日 1時