美形嫌いのチキュートリップ【王様戦隊キングオージャー】

番外編４カグラギ・ディボウスキ ページ22

「いやはや、A殿とクリスマスを過ごせるなんて身に余る光栄ですな」
『カグラギ大袈裟だよ。それよりも』

今の自分の格好を見る。真っ黒の振袖を着せられ思う様に体が動かせない状態だ。

「おや、お着物が気に入りませんでしたか？」
『いや…そう言うわけじゃないけど』

これじゃ拘束具だよ。高そうな着物だから文句も言えないけど…、目の前に並んだご馳走を眺める。そしてキツく絞められた幅の広い帯を撫でる。

『あんまりご飯食べれなさそうだから嫌だなって』
「私としたことがなんという失態を！スズメ、今すぐA殿のお召し物の交換を」
「はい、兄様！A様はこちらに」

言われるがままに部屋を移動する。裾を引き摺りながらもなんとか無事移動することができた。

「せっかく綺麗に着付けられたのに着替えるなんて勿体無いですわ」
『でもこのままだと美味しいご飯食べれなくなっちゃうんで』
「あら、確かにそうですわね。トウフで食事を取れないなんてラクラス様のいらっしゃらないシュゴッダムと同じですわ！」
『相変わらずラクレスさんラブですね』

冷めることのない愛に感心する。シュルリと帯が解かれやっと息が吸えるようになった。

「照れますわね、でも…A様の愛され具合を見てしまったら私の愛が少し霞んで見えてしまいます」
『私への愛？誰からの？』
「さあ、誰でしょう」
『えー、スズメさん教えてよ』

良い感じにはぐらかされてしまう。追求しようとするも着替えは終わったから早くカグラギの元へ進めと急かされ水に流される。

『カグラギお待たせ』
「いえこれっぽっちも、A殿といれば待つ時間も楽しいですな」
『相変わらず口が上手いな』
「恐縮です…。ところであの振袖はA殿が受け取ってください、クリスマスプレゼントです」

さっきの振袖を頭の中で思い浮かべる。あれどう考えても高級なやつだよね…。流石に受け取るの怖いな。

『いや、受け取れませんよ』
「おや、A殿はまだ私のことを信頼していないのですか」
『じゃなくて、着る機会もないですし』
「それはご安心をいずれ絶対にその時が来ますから」

そう言われて圧に負けて受け取ってしまった。

『そういえば、スズメさんの結婚式はウエディングドレスなんですね。てっきり着物だと』
「あぁ、あれはシュゴッダムの文化に従ったものです」
『へぇ、じゃあこっちの文化では？』
「トウフでは、花嫁は漆黒の振袖を身に纏います、貴方以外の何色にも染まらないと」

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