美形嫌いのチキュートリップ【王様戦隊キングオージャー】

−3 ページ13

それからギラに諸々の事情を話した。
ジェラミーさんに字を教えてもらおうとしたけどうまくいかなかったこと、ジェラミーさんが少し怖いと言うこと。

「そっか。確かにジェラミーはかっこいいもんね、一緒にいたら緊張しちゃうか」

ギラにこの事を伝えるのは少し躊躇われたけど、ギラは優しく受け止めてくれた。

『うん、…少し。ギラの友達なのにごめんね』
「い、いや！気にしないで。僕の方こそAのことをよく考えてなかった」
『そんな…、違うよ』

そこからしばらくの間、お互いに謝っては慰めてのやり取りを往復した。

「…そうだ！A、一対一じゃなかったら少しは楽になるかも。一回試してみない？」
『いいけど、私とジェラミーさんともう一人ってこと？』
「そう！Aがいいならだけど…」

その結果…。

「昨日ぶりだね、体調は良くなったのかい？」
『は、はい。ご迷惑をおかけしました』

昨日と変わらず底抜けの笑顔を見せるジェラミーさん。やっぱり怖いし緊張する。
そして、その隣にいるのがギラの呼んだ助っ人ならしいけど…。

「じぇっ、ジェラミー…。私が一緒で良かったのでしょうか…？」
「何を言うんだいゲロウジーム。ギラ直々のお願いだ、お前さんが居ないと困る」
「はっ、はいぃ。でも…」
『初めまして。Aと言います、よろしくお願いします』

ゲロウジームと名乗る助っ人は今にも消え入りそうな声でこちらこそ、と答えた。
この人、…人？がギラの呼んだ助っ人…。

「…怖がられてしまうのではないでしょうか？」
「お前さんは少しばかり心配性がすぎるな」
『…かわいい』
「へ？」

めちゃくちゃかわいい。
ジェラミーさんの側近って聞いたからどんな頭脳派イケメン…いや、怖いからそんな人来なくていいんだけど。一体どんな人物が来るのかと怯えていたのに、蓋を開けてみればこれだ。

『あの…、ゲロウジームさんのお好きなものは何ですか？』
「わっ、私の好きなものは…ジェラミーですかね」

思わず眉間に皺がよる。かわいい。

「じゃあ、授業を始めようか」
『はい！』

今日は自分の名前を書くことから始まった。象形文字に近いような文字の羅列を読むのはやっぱり難しいが、自分の名前くらいは読み書きできるようになった。
「お前さん、筋がいいな。これだったらすぐに本も読めるようになるはずだ」

『ありがとうございます。…ジェラミーさんの教え方が上手で助かりました。ゲロウジームさんもありがとうございます』

−4→←−2

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す