美形嫌いのチキュートリップ【王様戦隊キングオージャー】

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「この字が"あ"、こっちが"り"。それでこれらを繋いだこの3文字が"あかり"」
『はい』

見よう見まねで自分もペンを動かす。慣れない書体は書くのが難しくつい線がぶれてしまう。
ギラはいつ戻ってくるのだろうか。きちんと字を学ばないといけないのに、そればかりを考えてしまいうまく頭が働かない。

「それで…」
『すっすみません！あの、えっと…気分が優れないので、こっ今回の授業はこれで終了してもらってもいいですか？』

気づいたらそう声に出していた。

「おっと、体調が悪いのかい？なら俺が医務室に連れて行こう」
『いえ、ドゥーガさんに来てもらうので大丈夫です！』

ジェラミーさんは私に文字を教えてくれようとしているただ優しい人なはずなのに。私が持ってるイケメンへの苦手意識が彼のことを拒絶してしまう。

「…そうか、ならまた次回だ。ギラによろしく言っておいてくれ」
『はい、本当にすみません…。』

目を合わすのも怖いから逃げるように頭を下げる。

「いや、気にしないでくれ。俺だって体調は崩す。タイミングが悪かっただけだよ」

そう言って部屋から出て行く背中を見送る。
足音が離れていくのを確認すると少しずつ心臓の跳ねる音が優しくなってきた。
置き去りにされた机の上を見る、少しは字を学ばないと。
多分この世界は日本と同じような五十音で文字が割り振られているのだろう。どれがどの文字なのかさえ分かればもう簡単ではあるが…。

『ドゥーガさんにでも教えてもらおうかな…』

ドゥーガさん。この城についてから仲良くなった人だ。ギラの側近をしているらしいこの人は妻子持ちなせいか知らないがとても優しく、フレンドリーな性格をしていた。流れ者の私にも優しく接してくれた為すっかり信頼を置いている。

『でも…』

ジェラミーさんへの申し訳なさがだんだんと滲み出てきた。
謝った方がいいのかな…、でも怖いし。あんなイケメンを前にしたらまともに話すことなんてできない。
て言うかどうせ、あんな人だから自分の顔の良さを理解しているだろう。だから、小癪な方法で危害を加えてくるかもしれない。
いや、ギラの友人だからそれはないか…？

『あーもうわからん！』

ギラ、早く帰ってきてよ。

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