美形嫌いのチキュートリップ【王様戦隊キングオージャー】

最初の難関 ページ11

そこからの展開は早かった。

再びクワゴンに乗せてもらい、ギラが収めていると言う王国。"シュゴッダム"へと向かった。

その後、ギラと共にコーカサスオオカブト城の資料室で私のような存在、流れ者と名付けられた人間について調べたが。

「どの書物にも記載がない…」

指を真っ黒にしたギラががっくりと項垂れる。
私もそんなギラの隣で埃を被った本のページをめくっていく。

『…』

全然わかんない。
めくってもめくっても知らない文字ばっか、一個も読めない。

「…！そうか、Aはこの世界の字が分からないのか」
『うん。元にいた世界の文字とは全然違う』
「うーん。文字が読めないのは不便だな」

確かに。元の世界に戻るという目標があるとはいえそれがいつ達成するかは不確定だ。
そう考えるとこの世界で一人で生きて行く準備もしておかないといけない…よね。

『ねえ、ギラ。』
「ん？」
『私に字を教えてくれない？』
「そう言うと思った、僕に任せてって言いたいところだけど…。僕じゃ上手く字を教えられない気がするから…」

……

「やあ、俺の名前はジェラミー・ブラシエリ。狭間の国の王だ。以後お見知り置きを」
『は、はい…。Aと申します。地球から来ました。これからよろしくお願いします』
「あぁ、こちらこそ。話はギラから聞いたよ」

字を習いたいんだって？そう言うとジェラミーさんが机の上に筆記類と本、ノートを並べた。

「まずは簡単な童話から読んでいこうか、お前さん蜘蛛は好きかい？」
『ま、まあ…。嫌いではないです…、益虫だし』
「おっと、それはいいことだ」

この人なら適任だとギラが連れてきてくれた人物。それが今、目の前にいるジェラミーさんだ。

『…』

そーっとジェラミーさんの方を見る。

「ん、どうしたんだい」
『いっいえ！なんでも』
「そうか、じゃあ何かあったら言ってくれ」
『はい…』

怖い。この人だよ、とギラが連れてきた時からずっと手が震えている。
似ている、確実に似ているのだ。私の元彼たちに…。自分の非を認めることをせず私のことをボロクソに罵ってきた人達の記憶がフラッシュバックしてくる。

「んー。お前さん、使う物語が少し難しくても大丈夫かい？」
『は、はい。大丈夫です』

緊張で喉が渇く。気道が張り付いているかのように息がしづらい。

「じゃあまず…」

ジェラミーさんが紙の上でペンを踊らせる。そして、書いた文字に対応して発音をしてくれる。

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