美形嫌いのチキュートリップ【王様戦隊キングオージャー】

プロローグ ページ1

私はイケメンが苦手だ。
顔が整っているからってクズでも許されてしまうし、マイナスな面があってもギャップ〜なんて舐めたことを言われてプラスに変わってしまうからだ。NOって言わせない圧出してくるし。
そして、

「ごめん、A。俺…この子と幸せになる」

毎回私を不幸にする。
完全に自分に酔っている目の前の二人組はその言葉を残して走り去って行った。

『…』

これで何人目だろうか。いち、に、さん、と指を折って数える。
6。
私が今までにひどい振られ方をした回数だ。1人目は彼氏の浮気、2人目は私からお金を盗んでいたことが発覚、からの逆ギレで振られた。3人目は…、いやもうやめよう。惨めな気持ちになるだけだ。

『私が悪いのかな』

否、そんなことは断じてない。弱気になってはいけないのだ。立ち直りが早いのが私のいいところ、そう言い聞かせ気持ちを切り替える。

新しい人生の第一歩だ！そう張り切って地面を踏み締める。はずだった。

『え？』

スカッと空回りした足はよく分からない暗い空間へと引き込まれていく。バランスを崩した体は持ち直すこともなく謎の空間に消えた足の後を追うように深いところへと沈んでいった。

『やだやだやだ、死にたくない！誰か助けて！』

そう叫ぶが助けが来るわけもなく、自分の声がひたすらこの訳の分からない空間にこだまするだけだった。

しばらく海を漂うかの様な感覚がした後、視界がパッと明るくなる。

『…なに、ってうわぁぁぁ！！！』

外に放り出されてやっと気がつく。
私は今地面に向かって落下している、まずいこのままだと確実に命を落とす。やばいやばいやばい、無理。死にたくないんだけど！

もう地面についてしまう。自分の死を悟りぎゅと目を閉じる。

『…』

ぼすん！と大きな音を立てて何かに抱き抱えられる。え、死んでない？恐る恐る目を開く。

「あ、あのっ！無事ですか？」
『へ？』

目を開けた先で見えた景色は見覚えのない世界だった。心配そうな顔をして私を見るこの男の人は誰なのだろうか、すごく可愛い顔をしている。

「僕はシュゴッダム国王のギラです。あなたのお名前は？というかお体は無事ですか！？」
『えっと、Aって言います。体は、多分無事…です。それと、ここは一体』
「ここは、チキューの国の一つシュゴッダムです」
『…チキュー？し、しゅごっだむ？』

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