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『なんか照れちゃいますね』
「そうですか?」
注文の品ですと、頼んだ商品が運ばれてきた。
テーブルの上にティーカップと湯呑み。フルーツサンデーとみつ豆が並ぶ。
「そう言えばA殿」
『はい?』
「スズメとは一体どのようなお話を?」
「そ、れはですね…」
なんて返すのが正解なのだろう。正直に言うべきか、否か。どちらにせよこの人にはバレているような気もする。この際笑い話に昇華させた方が気が楽になる気がして来た。
『…恋バナですよ。もうフラれちゃったけど』
「おや、これは失敬。私としたことが不躾でしたね」
『いや別に。どうせカグラギの事だからなんとなく察してたんじゃないですか?』
「まあ、そうではないと言ったら嘘になりますね」
あっけらかんと言うカグラギにふっと肩の荷が下りるような感覚がした。
『嘘得意なくせに』
「何をおっしゃるか、私だって本心を語る時くらいありますよ」
『えー、絶対嘘。…じゃあ何か言ってみてくださいよ』
民と国のこと以外で!付け足して要求する。
「んー、弱りましたね…」
クリームの乗ったスプーンを口に運ぶ。いろいろな果物の果汁が混ざったクリームは口当たりが軽く。いくらでも食べていられる。
『ほらほら、早く言わないと。このままカグラギのみつ豆まで食べちゃいますよっ』
そう言ってテーブルに身を乗り出す。後少しでスプーンが器に入ろうとしていた時、そっと優しく腕を掴まれる。
え、突然のことに驚き顔をあげる。
「A殿のことを好いているとこぐらいですかね」
私の本心は。
顔面スレスレで浴びた告白とその太陽のような笑顔に照らされ何も出来なくなってしまう。
「はて?何故そのように顔が赤くなっているのですか?」
『いっいや、これは』
「聞きたかったのでしょう?私の本心」
掴まれた手は依然解放されないままでその圧迫感から自分の脈が伝わってくる。どくどくと跳ねる心臓の音すらもバレているのではないかと心配になるがもう遅い話だ。
「A殿は素敵なお方です。」
『は、はい…』
「この私が相当に惚れ込んでしまう程です」
『あっあの、カグラギ…』
何を言おうとしてるのか問いただそうとしたが、さらに言葉を重ねられる。
「回りくどい言い方は止しましょうか、もうA殿はお気づきのはずだ。」
その凜とした視線にドキリ、と脳が揺れた。
思わず再放送された感情に困惑する。もう一度言おう。
あれ、私ってそんなに早く好きな人が変わるタイプだったっけ。
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*桜もち。(プロフ) - さもえどさん» シチュエーションはお任せして大丈夫ならお任せしたいです!甘めだと嬉しいです! (11月10日 7時) (レス) id: 849756f787 (このIDを非表示/違反報告)
さもえど(プロフ) - *桜もち。さん» それと、オススメありがとうございます☺️ぜひ見させて頂きます! (11月9日 22時) (レス) id: c71a97a44f (このIDを非表示/違反報告)
さもえど(プロフ) - *桜もち。さん» *桜もち。様、リクエストお受けしました。私もグローディ様好きなので有難いリクエストです!短編を書くと言う形でリクエストにお答えするのですが、どの様なシチュが良い等のイメージがお有りでしたら、それも教えていただけたらと思います。 (11月9日 22時) (レス) id: c71a97a44f (このIDを非表示/違反報告)
*桜もち。(プロフ) - リクエスト失礼致します!もし宜しければグローディ様でお話を作って頂けると凄く嬉しいです!ご検討よろしくお願いします!あ、あと余談ですが個人的にはタイムレンジャーおすすめです✨ (11月8日 17時) (レス) @page10 id: 849756f787 (このIDを非表示/違反報告)
unnkochan(プロフ) - さもえどさん» 楽しみに待っております! (11月7日 23時) (レス) id: 3310dc048d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さもえど | 作成日時:2023年10月29日 2時