案外あっけない(カグラギ・ディボウスキ) ページ7
「おや!A殿、こんなところで会うなんて奇遇ですな!」
ハキハキとした声が空気を伝って鼓膜を揺らしてくる。その振動にすっと涙が引っ込む。
『かっ、カグラギ、こんばんは』
「えぇ、今晩は。それにしても、今夜は月が綺麗な夜ですね」
『そうですね。…月といえば、トウフには月を見てお団子を食べる文化があるんでしたっけ?』
今の自分の状態に触れてほしくないから、とにかく話題を提供する。多分瞼は腫れてるし、ほおは濡れてて、顔も赤くなってると思う。この人は紳士な人だからむやみやたらに質問はしてこないと思うけど。
「えぇ、えぇ!ありますとも!お月見と言うのですがね…」
おつきみについて話すカグラギの声を聞いてすこし気持ちが落ち着いてくるのを感じる。計算高くて腹黒のくせに何故か頼ってしまう。それがこの人の魅力なんだろうと1人で納得する。
「A殿?ぼーっとされてますが、私の話をちゃんと聞いておられましたか?」
『あ、はい!丸いお団子をお月様に見立ててるんですよね、その他にもイモメイゲツ?なんてものもあるんですね』
「そうです、そうです!農作物の収穫を祈願する大切な行事なのですよ」
イベントごとに食べ物の名前が使われているなんていかにもトウフらしいな、なんて感心をする。
ふと、以前話し合いのために訪れたトウフで見た景色を思い出す。豊かな土地に囲まれ汗を流し農作業をするカグラギの姿は一般的な王の姿とはかけ離れているようであった。でも、その姿こそが豊穣の王殿様であり、何事にも言い表せれない美しさがあると感じた。
「すべては民の為、国の為です!」
その明るい笑顔はトウフの国民からしたらまさに太陽に等しいのだろう。
『素敵ですね、カグラギらしいセリフで』
「…ははぁ。そのような有難いお言葉をA殿から頂けるなんて」
『あはは、大袈裟なんですから』
「そんなことはないですよ。A殿には普段からスズメがお世話になってますからね。」
何かお礼をと言われ、街のどこかのお店に寄ろうと言う話になった。あまりシュゴッダムに土地勘は無いのでどうしようかと迷っていたら、良い店があると勧められたので大人しくついていくことにする。
私の何倍もあるだろうその後ろ姿はひどく逞しくて眺めているだけで、なんだが甘えたい気持ちになった。私がギラに告白してフラれたと知ったらカグラギはどんな反応をするのだろうか。
そんな気持ちを抑えカグラギの後を追う。
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*桜もち。(プロフ) - さもえどさん» シチュエーションはお任せして大丈夫ならお任せしたいです!甘めだと嬉しいです! (11月10日 7時) (レス) id: 849756f787 (このIDを非表示/違反報告)
さもえど(プロフ) - *桜もち。さん» それと、オススメありがとうございます☺️ぜひ見させて頂きます! (11月9日 22時) (レス) id: c71a97a44f (このIDを非表示/違反報告)
さもえど(プロフ) - *桜もち。さん» *桜もち。様、リクエストお受けしました。私もグローディ様好きなので有難いリクエストです!短編を書くと言う形でリクエストにお答えするのですが、どの様なシチュが良い等のイメージがお有りでしたら、それも教えていただけたらと思います。 (11月9日 22時) (レス) id: c71a97a44f (このIDを非表示/違反報告)
*桜もち。(プロフ) - リクエスト失礼致します!もし宜しければグローディ様でお話を作って頂けると凄く嬉しいです!ご検討よろしくお願いします!あ、あと余談ですが個人的にはタイムレンジャーおすすめです✨ (11月8日 17時) (レス) @page10 id: 849756f787 (このIDを非表示/違反報告)
unnkochan(プロフ) - さもえどさん» 楽しみに待っております! (11月7日 23時) (レス) id: 3310dc048d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さもえど | 作成日時:2023年10月29日 2時