上書きは可能ですか？【王様戦隊キングオージャー】

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困らせてやろうと意地悪なことを言ってみる。
私ばっかり恥ずかしいところを見せてるんだ、等価交換。そっちも少しは困ったところを見せてくれないと。

「無理難題を押し付けるものだね、何でもかんでも行間に頼ってはいけないよ」

想定内の返事をされた。それが気に入らなかったので口答えをしてみる。

『それジェラミーが言うこと？』

いっつも行間行間ばっかり言ってくるのに。
その意味を込めて脇腹を軽くこづく。

「そうだな…。お前さんが何をどう感じているのか、その時にどんな気持ちを描くのか。それを知ることによって初めて俺は行間を理解することができる」

そうっと、ジェラミーの体が私の方へ寄ってくる。そして、私の手とジェラミーの右手が重なる。人間の手とは異なるエナメル質のような硬い手に私の手が包まれた。

『え、ちょっとジェラミー、』

再び目が逸らせなくなった私のことをじっと見つめながらジェラミーが口を開く。

だから、

「恋バナでもしようか。俗な言い方だけどね」

恋バナの軽い響きとは裏腹にずっしりと質量を含んだその言葉にどすんと心臓が重くなる気配を感じた。
明日の空までまだ時間があるようで、目の前できらきらと笑うお月様はむかつくほどに綺麗だった。

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