罪深き愛。 _ymmt ページ45
〔マフィアです。苦手な方はお飛ばし下さい。〕
「俺達のとこ来ればいいよ」
闇のようなスーツを纏ったその人は言った。
所詮どこにいたって同じだ。誰にも求められないまま死んでいく。それなら、いっそこの人に殺されたい、そう思った。
予想外だった。
元々親は良い親ではなかったし、学校にだってろくな奴はいなかった。そもそも周りの奴ら全て腐っていた。
だから、本当に予想外だった。
まさか、まさか、
親を殺したこの人に不思議な気持ちを抱くとは、思わなかった。
別に憎しみなんてない。親に情なんてなかったから。
けど、わからない。どうして貴方を見ると心拍数が上がるの？
『…どうして』
「どうして、って？」
『どうして私なんかに手を差し伸べるの』
「そこに疑問を持つの？」
『他に何があるって言うの』
「親を殺したこととか？」
『別にどうでもいいもの、理由なんて』
「へえ、そう。」
「まあ、もし俺の行動に意味があるとしたら」
「好きになった子を守りたいって思ったからじゃないの？」
『…す…き…？』
すきって、何？
「…愛ってわかる？」
彼は座り込んでいる私と目線を合わせるようにしゃがみこみ、どこか寂しげに聞く。
『あい？』
「わからないか。
愛って言うのはさ、その人とずっと一緒にいたいとか、その人を守りたいとか、そういう気持ちのことを言うんだよ。」
そうなんだ。愛。それを愛というのか。
それなら私はきっと、この人を愛したんだ。今この瞬間芽生えたこの気持ちはきっと愛なんだ。
「君は誰かを愛したことがある？」
『…今まで、愛というものを知らなかった』
「…そう」
『けど、今貴方に教えてもらってわかった』
『可笑しいかもしれないけれど』
『私は貴方を愛してしまったみたい』
『貴方とずっと一緒にいたい』
『叶うのなら』
『貴方の手で殺して欲しい』
「俺は殺したくはないけどね」
『…どうして』
「やだよ、殺したら君といられなくなっちゃうじゃん」
『…貴方は、私を愛してくれるの？』
「愛してるよ」
「だからここにきたんだ。
君を連れ去りにさ。」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 318人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「QuizKnock」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
いろ(プロフ) - 私もしかしたらハッピーエンド書けないのかもしれない(は？) (2020年2月3日 22時) (
レス) id: 5fbef9d1c0 (このIDを非表示/違反報告)
いろ(プロフ) - やまうみ。さん» ありがとうございます…！またリクエストかシチュエーション置いていってくださいねっ (2020年2月2日 18時) (レス) id: 5fbef9d1c0 (このIDを非表示/違反報告)
やまうみ。 - あ、あの、好き、あの、無理です(語彙力の暴落)ありがとうございましたぁ...(泣) (2020年2月2日 17時) (レス) id: 98a8cddddc (このIDを非表示/違反報告)
いろ(プロフ) - ちょこさん» ありがとうございます！ふと思い浮かんで書きなぐったものだったので心配だったのですが、喜んでいただけて嬉しいです！ (2020年2月2日 12時) (レス) id: 5fbef9d1c0 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこ - え、え、え、「通知音」めっちゃ良い…バカな感想だけどめっちゃ良い…！！(なにいってんだこいつ) (2020年2月2日 10時) (レス) id: 87290c21e3 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：いろ | 作成日時：2020年1月20日 19時
