明晰夢 【短編集】

_kwkm ページ45

「それはAが悪い」

『わかってるけど…』

「わかってないやん、わかってたらそんなことしない。」

『そんなに言わなくてもいいじゃん…』

「アドバイスしろって言ったのAやろ」

『でも…』

「さっきからでも、とかけど、とか多すぎ。」

…言い過ぎじゃない？

確かに私が失敗したし、私が100悪いけど、ちゃんと反省もしたよ。

「なぁ、聞いてるん」

『聞いてる』

『でも私怒って欲しかったわけじゃないもん…』

「…は？」

『…あ』

「…はぁ、呆れる。なんなん。」

『ご、めん。』

ダメだ。全部私が悪いのに。なんで川上さんに当たっちゃうんだろう。

こういう時の悪い癖。すぐに涙が出てくる。

「…な、なんで泣くん」

『ごめ、ちがくて』

違う、違う、川上さんのせいじゃない。
私の目が悪いの。脳が悪いんだよ。違う、違う。

涙が、止まらない。

多分、怒られたことじゃなくて、

彼に嫌われたことが、

私にとって、1番辛い。


「…」

『ごめん、ほんと、ごめん。』

『ちょっと、頭冷やしてくるから』

「は」

ダメだ。どうしよう。何もわからない。

「待って」

『…？』

気付いた時には彼の腕の中だった。

『かかか川上さん！？』

「…ごめん、言い過ぎた」

『い、いや、私が悪かっただけで』

「…お互い様ってことにしん？」

『…うん…ごめんね』

「俺もごめん」

「あと、急にこんなことしてごめん」

『や、大丈夫、だから、あの、ちょっと、』

「ん？」

『離して…』

「…やだ」



『(心臓がもたないんだけど…！！？)』




ーーー





なんで俺はさっきからこいつの相談に乗らされてるんだろう。いつもならそんな些細なことでイライラしないはずなんだけど、内容が内容だ。

なにが『伊沢さんと喧嘩しちゃったぁ』だよ。そんなん次の日にでもなれば解決してるだろ。相談することでもないだろ。

…まあ、好きなやつの相談断れるほど勇敢(？)な男じゃないし、結局聞くんだけど。

「(ほんと、どんな罰ゲームだよ…)」

『〜だったんだけどさ、ーーーで。』

「あー、それはAが悪い。」

『わかってるけど…』

『伊沢さんに嫌われたらどうしよ…』
　

…→←…

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