明晰夢 【短編集】

大人になれない私たち。　_wtnb ページ36

〔曲パロです。そういうのが苦手な方は他のお話に飛んでください。すみません。〕








何から話せばいいかわからないほど長い私たちの物語。

それも、もうすぐ最後になりそうだね。


「ありがとう、愛してた。」


何が愛かはしらない。

だからあなたと二人で愛を造った。

「これでいいのかな。」

なんて、

『私に聞かないでよ。』


惹かれあってたはずなのに。


この舞台で、貴方はピーターで、私がウェンディを演じた。


そばに居ることにも慣れ、

『こうちゃん…』

「ん？」

いないことにも慣れてた。

「＿＿！」

＿私じゃない名前を愛おしそうに呼ぶ君と

「航平！」

＿君の名前を愛おしそうに呼ぶ私じゃない子

＿私は座り込んで耳を塞いだ。




『ねぇこうちゃんが好き。』


「…ごめん。」


『…わかってる。』




狂わせた時計と、


「まだ一緒にいたい」


壊れたコンパスが、


『(離れたくない。)』


私たちを大人にさせない。

繰り返してる、

「これで、最後。」

『それ、何回目？』

最後のキス。

まだ、貴方はここにいる。

まだ、私の。




2人とも気づいてはいたけど

歪み始めてたLove。

君の目を見てわかっちゃって。

『もうなんなの、わかってよ。』

とか決してそんな荒い気持ちじゃない。


「…バイバイ。」

結局、私たちはまた明日、会うのに。


君のサヨナラが重い言葉に聞こえなくなったんだよ。


こんなこと言いたくないけど、君しか知らないからさ。


『行かないで…っ』


「…もう消えて。」


『…愛してるよ』



まだ狂ったままの時計と、直す気のないコンパス。

まだ私たちを大人にさせないでいてくれる。


まだ繰り返してる“最後”のキス。


まだ気持ちはここにいる。






長かったね。


愛してたよね。


「もう、終わりにしよう。」


何度も頭の中で繰り返した。

あなたが言ったフレーズが、どんだけ考えても理解できなかった。

私の頭が、理解しようとしなかった。



でも…


あなたと離れても、


過ぎ去っていく日々を、忘れたわけじゃない。

消したいわけじゃない。





『…いつかはこんなに悲しい夜が、来ることなんか最初からわかってたよ。』

「…っ」


『…いつもとは、違う、』


『本当の、』


『本当の…』



『さよならをしよう？』




「…ほんとに、ごめん。」





去っていく彼を見送りながら、私は彼の背中に声をかける。


『月が綺麗だね。』


“Never Grow Up” / ちゃんみな

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