明晰夢 【短編集】

告白、告白。　_fkr ページ35

私は今日、聞いてしまった。


「俺、今日告白する。

放課後空いてるって言ってた。

だから、昇降口で待ってて欲しいって言った。」

「おお、とうとうか！」

「うん、今まで応援してくれてありがとう。頑張る。」



『嘘でしょ…』



私はまだ、告白もしてないのに。



でも、今すぐ告白するなんてそんな勇気私にはない。



『ふくらせんぱ、』

「あ、A。どうしたの？」

心做しか、いつもより、明るい。

『がんばって、くださいね。』

「…！ありがとう！」


福良先輩は嬉しそうに走っていった。


『…ふ、うぅ…うぁ、ああぁっ…』


好きな人の幸せを喜べないって、


最低ですかね。


でも、やっぱり、好きな人を幸せにするのは




『私で…っ、ありた、かったなぁ…！』







次の日、彼の靴箱の中には、



手紙が入っていた。



ぐじゃぐじゃの紙。

ぐじゃぐじゃの字。




“好きでした。”






＿






今日、俺は告白するんだ。あの子に。

ずっとずっと追いかけてきた。

追い付けはしなかったけど。

告白しに行く途中、後輩にあった。

「あ、A、どうしたの？」

『がんばって、くださいね。』

聞いてたんだ。

「ありがとう！」

後輩に応援されたら、頑張らなくちゃ。

…少し様子が変だった気がしないでもないな。





俺の告白に、

あの子は、

ありがとう、と微笑んだ。

振られてしまったけど、

その顔も可愛かった。




でも、この時俺の頭の中にいたのは、告白した子じゃなくて、

さっき泣きそうな顔をしてた、後輩だった。



何か、あったのだろうか。



俺が肩を落として帰ろうとした時、

廊下でパタパタと走る音が聞こえた。

何故か妙に気になって駆け足で寄ると、

走り去っていく先程の後輩の姿があった。








次の日、靴箱を見た彼は、

昨日の後ろ姿を追いかけるように後輩の元へ走った。








ーーー
すいません、作者です。
今回は賛否両論ありそうな作品になりました。

これを、読者様はどのような解釈をするのか、とても気になります。

読んでいただきありがとうございます。
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大人になれない私たち。　_wtnb→←小悪魔。　_ymmt

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